肘部管症候群の手術療法とリハビリについて

2018/2/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肘部管症候群とは、手の小指と薬指のあたりに痺れが出てくる症状です。この症状が出てきた場合、治療のために手術をすることが一般的ですが、手術法にはどのようなものがあるのでしょうか。手術後のリハビリ方法とともに解説します。

肘部管症候群はどんな病気なの?

肘部管症候群とは、手の尺骨神経が肘部管で圧迫されて小指と薬指に痺れを感じる病気です。麻痺の進行によって、症状は異なります。
尺骨神経は、手の小指側にある、感覚と手の中の筋肉を担当している神経です。この神経に障害が生じることで、手が痺れるといった症状があらわれます。尺骨神経が肘の内側で慢性的に圧迫されたり、引っ張られたりすることが原因で発症する病気です。
初期症状では、小指と薬指の一部に痺れを感じるようになります。症状が進行すると、手の筋肉が痩せ細ったり、小指と薬指に変形が生じたりするようになります。手の筋肉が低下すると握力も低下し、指をひらいたり閉じたりする運動ができなくなります。

こんな症状があったら肘部管症候群かも・・・!

肘部管症候群になると、ほとんどの場合、最初は小指と薬指、手のひらの小指側に痺れを感じるようになります。尺骨神経は、尺骨神経溝という上腕骨にある下端の骨の溝を走っています。肘を曲げた状態にすると、尺骨神経が引き延ばされ、この骨の溝に擦り付けられた状態となります。その結果、指先に痺れや障害が発生するようになります。痺れによって運動障害が出てくると、小指、薬指が上手く伸ばせなくなって、箸が上手に使えないなどの症状があらわれます。
自分でチェックするときは、痺れがどのくらいの範囲に及んでいるかを確認することが大切です。たとえば指先の場合、小指と薬指側の半分に痺れが出ていたら、尺骨神経の障害が出ていると考えてよいでしょう。

肘部管症候群の治療では、どんな手術をするの?

肘部管症候群の場合、尺骨神経にかかっている圧力を解放するために、手術で神経を剥離するとともに、神経の周囲にある上腕骨内側上顆の切除を行うことが一般的です。神経がどの部位で圧迫されているのかに応じて、靭帯を切り離したり、腫れ物(ガングリオン)を摘出したり、骨の出っ張りを切除したりして、神経にかかった圧力を取り除いていきます。尺骨神経の緊張が強い場合は、神経を前方に移動させることもあります。
肘部管症候群には様々な手術法がありますが、どんな方法であっても尺骨神経が圧迫されている状態を解消することが目的です。手術を受けた後、ひどい痺れの症状はすぐに改善しますが、痺れが完全に消失するまでには時間がかかることに留意する必要があります。

肘部管症候群のリハビリと禁忌姿勢について

肘部管症候群のリハビリの目的は、衰えた筋肉を回復させることです。特に、衰えた薬指・小指の筋肉を回復させるために、握力を向上させるリハビリを行います。作業療法では、セラプラスト®︎・ディジフレックス®︎・ペグボード®︎といったリハビリのためのツールを使って、衰えた筋肉の回復を目指します。自宅でもできるリハビリとしては、柔らかいボールを握る訓練や指を閉じたり開いたりする運動、親指を内側に閉じる運動、オセロをひっくり返す運動など、尺骨神経領域に関わる筋肉のリハビリを行います。
腕を外側に捻る動作は、肘の筋膜の尺骨神経に対する圧迫を強めます。また、肘を曲げる姿勢も、尺骨神経を緊張させるので症状を悪化させてしまう危険性が高くなります。このような姿勢は避けましょう。

おわりに:肘部管症候群は手術で痺れの原因を取り除くのが一般的

肘部管症候群を発症した場合、尺骨神経が圧迫されている状態を解消するために手術を行うのが一般的です。手術後は、衰えた薬指や小指の筋力を回復させるために、さまざまなリハビリを行います。手術で痺れはなくなっても、元の状態に戻るまでには時間がかかります。焦らずじっくりリハビリに取り組み、手の機能を回復させていきましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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