大腸穿孔は何が原因で起きる?症状にどんな特徴があるの?

2018/11/12 記事改定日: 2020/5/28
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

大腸穿孔とは、大腸の腸壁に穴が空いてしまうことで、生命の危機に陥ることもある深刻な状態です。
この記事では、大腸穿孔の原因や症状の特徴、治療方法について解説していきます。

大腸穿孔ってどんな病気?

大腸穿孔とは、大腸が何らかの原因によって穿孔した状態(穴があいた状態)になることです。

大腸穿孔になると、腸管内に溜まっている便や細菌が腹腔内に広がり腹膜炎を引き起こしたり、細菌が血液中に広がり敗血症になることもあります。
大腸穿孔は、早期の手術や集中治療を行ったにもかかわらず救命できないという症例もある危険性の高い病気です。

大腸穿孔の特徴
  • 発症してから比較的早期に重篤な細菌性腹膜炎に陥ることがある
  • 他の部位の消化管穿孔と比較して、発症が突発的ではない
  • レントゲンで大腸穿孔と診断する所見が見られないことも多い
  • 症状があまり強く出ない

大腸穿孔は、上記の特徴から発見が遅れやすい傾向があり、高齢者の発症が多くみられます。

大腸穿孔の症状の特徴

大腸穿孔を発症すると、次のような症状が現れます。

  • お腹の一部が痛む
  • お腹の張りはあるもののガスが出ない
  • 吐き気や嘔吐が見られる
  • お腹全体が硬くなる
  • 発熱が見られる

大腸穿孔は、クローン病などの炎症性腸疾患や大腸がんなどの病気によって引き起こされることが多いです。そのため、発症して上で述べたような症状が現れても元の病気が悪化した…と誤解することも少なくありません。

また、大腸は大網と呼ばれる膜に覆われているため、開いた穴から内容物が漏れ出ても広範囲に拡がりにくく、炎症の範囲が一部におさまって強い症状が現れないこともあります。

大腸穿孔の原因は?

大腸穿孔は、もともと持っている病気が原因になることが多いです。

大腸穿孔の原因になる病気で多いもの
  • 大腸がん
  • 憩室炎
  • 炎症性腸疾患

このなかでも、大腸がんが原因になることが多いといわれています。
大腸穿孔は左側結腸、とくにS状結腸に起こりやすいといわれていますが、これは硬い便の通過や腸管運動によって内圧が上昇しやすく、S状結腸は細いため腸管壁に過度の伸展が加わりやすいことのほかに、大腸がんがS状結腸にできやすいことが関わっていると考えられています。

上記以外では、交通事故やスポーツによる外傷や、内視鏡検査などの際の事故が原因になることもあり、紹介してきたような「原因となる病気やケガ」などが見つけられない大腸穿孔のことを特発性大腸穿孔といいます

大腸穿孔になった場合の治療法は?

大腸穿孔は放置すると漏れ出た内容物によって腹膜に炎症が生じ、敗血症など命に関わる状態に陥ることがあります。そのため、大腸穿孔の治療では基本的に手術が必要であり、発症後はできるだけ早くに手術をする必要があります。

手術後は大腸を安静にさせるため絶食し、点滴で栄養を補給していきます。同時に腹膜炎などを予防するために抗生物質の投与も必要です。

また、大腸穿孔のほとんどは「もともとある大腸の病気」が悪化することが原因のため、大腸穿孔を発症した場合は、発症原因となった病気の治療も行っていく必要があります。

おわりに:大腸穿孔を重症化させないためには早期発見、早期治療が鍵

大腸穿孔とは、大腸がさまざまな原因によって穿孔した状態のことです。S状結腸に好発し、腹痛や圧痛、腹壁が硬くなるという症状が出現しますが、強い自覚症状がでないこともあり、発見が遅れることもあります。

大腸穿孔はもともとの大腸の病気、とくに大腸がんで起こりやすく、治療は手術が第一選択です。大腸の病気がある人は経過観察を怠らないようにして、何か気になる症状があるときは早めに病院をしましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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