記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
筋・筋膜性腰痛症とは、腰の筋肉や筋膜の損傷が原因で起こる腰痛です。急性期の治療と回復期の治療に違いがあるといわれていますが、どんな違いがあるのでしょうか。下記の記事で詳しく解説していきます。
筋・筋膜性腰痛症は、スポーツをすることによって起こる腰の筋肉や筋膜の損傷によって腰痛が起こっているものです。背骨の両脇の背筋に圧迫するような痛みがあったり、寝返りを打つ、立ち上がる、前後に屈伸するなど腰部分を動かしたときに痛みが起こったりします。
また、ある一定の姿勢のときに痛みが強くなったり、反対に痛くない姿勢があることも特徴です。
基本的には腰部の痛みしか現れず、下肢に痛みが及んだり、しびれ、感覚異常、筋力低下などの症状を引き起こす場合は別の病気が疑われます。
鑑別が必要な代表疾患に、腰椎椎間板ヘルニアと、腰椎分離症があります。
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の髄核が飛び出して神経を圧迫し、腰や臀部、下肢に疼痛、しびれなどを起こす整形外科疾患です。X線(レントゲン)では椎間板が写らないため、確定診断にはMRIが必要になります。
腰椎分離症は、発育期に腰に大きな負荷のかかるスポーツをする選手に多く見られる整形外科疾患です。腰椎後方の椎弓が疲労骨折を起こし分離することで発症します。分離部分に疼痛を感じるようになりますが、無症状のままのことも少なくありません。体幹を後屈する(背中を反らせる)したり、腰をひねる動きをすると腰痛を強く感じやすく、X線(レントゲン)で診断できることもありますが、判別が難しい場合はCT検査が必要になります。
発症から1週間程度の急性の腰痛症の場合には身動きをとるのも難しいときがあり、その場合はまずは安静にすることが大切です。ただし、安易に長期の安静をとってしまうと、筋力や柔軟性の低下に繋がり、再発リスクを高める可能性があります。、疼痛が軽減し医師の許可をもらった段階でストレッチやエクササイズなどのリハビリを始めましょう。
痛みがひどい場合や痛みが治まらない場合は、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などの服用やコルセットなどの固定療法、ペインクリニックでのトリガーポイント療法などが組み合わされることもあります。
1週間から2週間経った回復期にあたる時期の治療は、ストレッチ中心のリハビリが行なわれます。専門医や理学療法士の指導のもと、正しいストレッチを行いましょう。痛みが残っている場合は、消炎鎮痛内服剤や湿布の使用、電気治療、鍼、マッサージなどを併用しながら、リハビリが続けられます。
筋・筋膜性腰痛は、しびれや麻痺を伴わない腰のみに痛みが起こる整形外科疾患です。腰以外の部位に痛みがあったり、しびれや麻痺があるものは別の病気の可能性があります。担当医に症状を正しく伝え、詳しい検査をしてもらいましょう。
筋・筋膜性腰痛の急性期は安静が必要ですが、急性期をこえても動かない状態を続けてしまうと、筋力低下や可動域減少につながり腰痛再発のリスクが高まります。医師と理学療法士の指導のもと、リハビリに取り組むようにしてください。