記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/7 記事改定日: 2019/3/7
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
女性の薄毛の多くは、ホルモンバランスの乱れから起こるといわれています。治療のためには、医師から処方された薬の使用と生活習慣の改善が重要になります。この記事では女性の薄毛の治療法について解説していきます。
女性の薄毛は男性の薄毛と違い、髪が細くなり頭髪全体の密度が少なくなるのが特徴です。薄毛や抜け毛で悩みをもつ日本人女性は推定で1000万人程とされ、男性に比べ複数の原因があわさって発症することが多いと考えられています。
女性の薄毛の大きな原因として挙げられるのはホルモンバランスの乱れです。毛髪と深い関わりがある女性ホルモンのエストロゲンには、毛髪を育て維持する働きがあるので、ホルモンバランスが乱れるとヘアサイクルに影響します。
一般的に、女性ホルモンは30代から減少し始め40代で急激に減少します。このようなホルモンバランスの変化は誰にでも起こりますが、日々の生活習慣を改善することで抜け毛を減らすことは可能と考えられています。
たとえば毛髪の95%は、ケラチンというタンパク質でできています。このケラチンの減少をひきおこすのは、加齢に加え、アルコールやたばこ、不規則な食生活や過度のダイエットなどとされているので、食事のバランスを整えることで薄毛を改善できる可能性があります。また、不十分な睡眠、ストレスのかかる生活などを見直すことも、ある程度の薄毛予防効果が期待できるといわれています。
内服薬や外用薬の他、高濃度の成長因子を頭皮深部まで導入する治療法や、最新毛髪再生治療として、ダメージを受けた毛包の細胞自体を再生させ発毛を促す治療法が注目を浴びています。
その他、髪を健やかに保つ様々なビタミンをオリジナルで調合し、定期的に体内に補充することで発毛しやすい体質に改善するHS発毛促進点滴なども行われています。
実際に使われている治療薬は以下になります。
頭部全体から均等に毛が抜ける、女性に多いびまん性脱毛症に効果が大きいとされる治療薬です。頭皮の健康を維持するための栄養素でほぼ構成されているため、副作用が起こりにくいのが特徴です。
ただし効果が出るまでに最低でも服用後3か月の継続が必要といわれます。また医師の診察と処方箋が必要です。
ミノキシジルは、髪の毛の成長や生成に関係する毛母細胞に直接働きかけ、髪の毛の成長を促します。また、頭皮の血行促進効果もあり、頭皮全体に栄養が行き渡りやすくなり、健康な髪を育てる土壌を作ります。ただしミノキシジルの効果が期待できる女性の薄毛は、びまん性脱毛症(FAGA・女性男性型脱毛症)です。また、かゆみ、血圧低下、手足のむくみ、体毛が濃くなるといった副作用が報告されています。
パントスチンの有効成分アルファトラジオールは、薄毛の原因となる男性ホルモン(DHT)の生成を阻害します。これまで、AGAの原因物質であるDHTの抑制作用がある薬剤は、ホルモンに与える影響が強く、女性への処方が制限されていましたが、パントスチンは、女性でも安心して使用できるとされています。効果の作用が緩やかな分、ミノキシジルのような副作用も少ないというメリットがあります。
ホルモン補充療法(HRT)とは、加齢などによって減少する女性ホルモンを補う治療です。女性の薄毛はエストロゲンの減少が関与していると考えられているため、ホルモン補充療法が行われることもあります。
しかし、ホルモン補充療法の効果には個人差があり、治療効果に関する明確なエビデンスは確立されていません。このため、薄毛治療としてホルモン補充療法を取り入れている医療機関はまだまだ多くはないのが現状です。
ホルモン補充療法には子宮がんの発症リスクが上昇したり、不正出血が起こりやすくなるなどの副作用もあります。治療を希望する際には、担当医とメリット・デメリットをよく話し合ってから治療開始するようにしましょう。
たとえば朝のシャンプーは皮脂膜のない無防備な状態で髪を外的ダメージにさらすことになります。髪を傷つけないためには、シャンプーは夜に行う方が望ましいとされています。
女性ホルモンのエストロゲン減少も薄毛の原因の一つですが、エストロゲンと構造が似ていて同じような働きをすると考えられているのが大豆イソフラボンです。大豆イソフラボンを含むサプリメントは、乱れたホルモンバランスを整えるサポートをしてくれます。
また頭皮が硬いと毛細血管がうまく収縮できず血行が悪くなり、髪の製造器官である毛球に十分な栄養が行き届きません。定期的なマッサージで頭皮の血行を促し、髪が健康に育つ土壌を作りましょう。
髪の主な構成要素はタンパク質のケラチンですが、その形成に深く関わっているのが成長ホルモンです。この成長ホルモンは主に就寝時に分泌されるため、十分な睡眠は健康な髪の育成に欠かせません。
また成長ホルモンは肝臓で作られるため、飲酒をするとアルコールを分解している間は肝機能は低下するので、成長ホルモンの分泌と生成が妨げられてしまいます。さらに、ストレスが溜まると分泌量が増えるコルチゾールも成長ホルモンの分泌を阻害します。飲みすぎとストレスには注意しましょう。
女性の薄毛についてはさまざまな治療法・治療薬が開発されているため、自分に合った対処法を見つけましょう。また食生活や睡眠、シャンプーなどを見直すことも予防につながります。何気なく続けていた習慣を振り返り、改めていきましょう。