異食症の対処法 ― 氷食症と認知症のときで対処法が違う?

2018/2/13 記事改定日: 2018/8/7
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山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

異食症とは、紙や泥など、食べ物ではないものを口にしてしまう症状です。この異食症が認知症を患っている方にみられることがあります。この記事では、認知症の人の異食症と氷を食べ過ぎてしまう異食症「氷食症」の対処法を解説していきます。

異食症になると、どんなものを食べるようになる?

異食症とは、食べ物ではないものを口にしてしまうことです。よくあるものとして、紙や粘土、泥、毛などがあります。この病気によって社会的な機能が損なわれることはほとんどありませんが、もともと社会的な機能を損なうような精神疾患を抱えている人に異食症が併発することはあります。また、妊娠中に食の好みが変化して異食症を起こすことがありますが、妊娠期間が終わるとなくなる人もいます。

なお、2歳以下の子供が土や紙などを口に入れることがよくありますが、こちらは発達の途中で誰にでもみられる行動で、異食症ではありません。

氷を食べる異食症「氷食症」とは?

氷食症とは異食症の一種であり、「氷を無性に食べたくなる」という病気です。
発症メカニズムは明確には解明されていませんが、鉄欠乏状態や過度なストレスが発症に関与していると考えられています。特に、鉄欠乏状態の人は貧血になりやすく、氷食症は鉄欠乏性貧血の患者に多く発症することがわかっています。
症状は、「氷を大量に食べる」ことに止まらず、鉄欠乏による記憶力や食欲の低下、動悸、息切れなどを併発し、精神疾患がベースにある人では強迫性障害を併発することが多いとされています。

認知症で異食症の症状が出るって本当?

認知症を抱える人の中に、異食症を発症する人がいます。これは認知症の症状として食べ物の区別がつかなくなってしまったのが原因になっていると考えられます。また、満腹中枢が正常に働かなくなったために食欲が抑制できず、手当たり次第に何かを口に入れてしまうといった症状が引き起こされるとも考えられます。そのほか、味覚障害が出て味がわからなくなってしまったり、精神的な寂しさを埋めようとしていろいろなものを口に入れてしまったりすることも異食症を発症する原因になるようです。

異食症の対処法とは?

氷食症の対処法

氷食症の対処法として、鉄欠乏が原因であるものは鉄剤の投与を行って不足した鉄分を補うことで氷食症も徐々に改善していきます。通常は一か月ほどで症状は改善しますが、中には三か月以上かかるケースもあります。
また、子宮筋腫や胃潰瘍などが原因で鉄欠乏状態に陥っている場合には、それらの治療を同時に行う必要があります。

認知症が原因の場合の対処法

異食症の人が食べ物以外のものを口にしているところを見つけたときは、大声を出したり怒ったりしないようにします。まずは落ち着いて声をかけ、口の中に何が入っているかを確認します。体に有害なものだった場合で急を要するときは、強引にでも指を入れて掻き出してください。すでに大量に体の中に入ってしまっているなら、意識状態やけいれんの有無を見ながら病院へ連れていきましょう。そこまで危険なものでなかった場合は、無理に口に手を入れると噛まれる可能性があります。まずはお菓子などを見せて気をそらせ、そのすきに口の中を確認しましょう。

ビニールやガラス、電池、たばこ、洗剤などは体に有害なので、自宅に異食症の人がいるときは手の届かない場所に保管したり、鍵をかけておくようにする必要があります。また、食事を小分けにして、食べ物を食べている時間を長くするという方法もあります。

おわりに:異色症の症状があるときは、食べてはいけないものを遠ざけ、早めに病院で診てもらおう

認知症を抱える人は、食べ物が区別できなくなったり、味覚障害があったりするために、本来口にすべきではないものを食べてしまうことがあります。もし、身近な人にそのような症状がみられたら、必要に応じて病院で診てもらうなど、適切に対処しましょう。また、有害なものを手の届かない場所に保管することも大切です。

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