拡張型心筋症と肥大型心筋症の手術療法を解説

2018/2/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

心筋症とは、冠動脈や大動脈には異常がないのに、心筋に異常が生じて心機能低下を引き起こす病気です。心筋症は形態やどのような異常がみられるかによって3タイプに分類されますが、ここでは拡張型心筋症と肥大型心筋症の症状と治療法にしぼって解説します。

心筋症とその種類について

心筋症は心筋に異常が生じて心機能低下を引き起こす疾患で、冠動脈や大動脈には異常がみられないものを言います。心筋症を発症する原因として、遺伝的要因などの関与が考えられていますが、現時点では明確になっていません。
心筋症は、形態や機能異常の特徴によって主に拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症の3つに分類することができます。中でも代表的な心筋症は、拡張型心筋症と肥大型心筋症です。
拡張型心筋症は、心臓壁が薄くなると同時に内腔が拡張することが特徴で、心筋の収縮力低下を引き起こします。心筋の収縮低下が起こると、血液を送り出す力が弱くなり、動悸や息切れ、呼吸困難といった症状があらわれます。
一方、肥大型心筋症は心臓壁が肥大するものの、内腔の拡張は見られません。ただ、心臓壁が肥厚して容量が小さくなった結果、送り出す血液量が減少して動作時の呼吸困難や胸痛、浮腫、場合によっては失神することがあります。なお肥大型心筋症の場合、こうした自覚症状があらわれにくいこともあります。

拡張型心筋症の手術療法とは?

まず拡張型心筋症に対する治療では、症状に合わせて外科治療が行われます。代表的な外科治療として、人工心臓手術、左室形成術、弁膜症手術、両心室ペースメーカー手術があります。人工心臓手術には、体外式と植込み型の2種類あります。体外式は血液ポンプや駆動装置が体外に設置されているものであるのに対し、植込み型は血液ポンプを体内に留置し、体外に駆動装置が設置されるものです。植込み型は駆動装置を体外に設置するため、自宅での生活に戻しやすいという特徴があります。
また、左室形成術は拡張した心筋を部分的に切除して縮小、再形成させます。そして、弁膜症手術は僧帽弁閉鎖不全がみられる場合に行われることがあり、僧帽弁の修復もしくは人工弁への置換が行われます。
両心室ペースメーカー手術は、拡張型心筋症に起因する重度の心不全症状がみられる場合に行う方法で、心臓にペースメーカーを置いて左右心室のリズムを補正します。

肥大型心筋症の手術療法とは?

肥大型心筋症の治療は、症状の程度によって投薬治療か手術療法が選択されます。自覚症状がみられない場合、定期検査を行いながら経過を観察しますが、何らかの症状がある場合は投薬治療が最初に行われます。肥大型心筋症に用いられる治療薬にはβ遮断薬やカルシウム拮抗薬があり、過剰な心筋の収縮を抑制して心臓への負担を軽くします。
投薬治療では改善がみられなかったり、症状が重い場合は、重症化の予防や生命の危険を回避するために手術療法が行われることがあります。手術療法には心室中隔切除術や両心室ペースメーカー、植込み型心室細動装置があります。
心室中隔切除術では、肥大した心筋を切除して左心室への血流を改善させます。両心室ペースメーカーは、心臓にペースメーカーを置き、左右心室の心拍リズムを補正させます。
植込み型心室細動装置とは、鎖骨下の前胸部に装置を埋め込んで心拍数を一定に保つようにするもので、ペースメーカーと除細動機能を併せ持っています。

おわりに:心筋症のタイプに応じて手術療法か投薬治療が行われる

拡張型心筋症の場合、外科治療を行うのが一般的ですが、肥大型心筋症の場合は最初に投薬治療が行われ、効果がみられない場合に手術を行います。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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