AEDを使った心肺蘇生法 ― 突然の心肺停止から命を救う方法とは

2018/2/22 記事改定日: 2018/12/27
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「AEDの使い方を知らない」「突然倒れた人がいても、どうすればいいのかわからない」という方も非常に多いのではないでしょうか。

今回の記事では、AEDの使った心肺蘇生法や、倒れた人が出た場合の適切な対処法についてご紹介していきます。
突然の心肺停止に対処できるように、この機会にきちんと覚えておきましょう。

心肺停止はどうやって確認すればいい?

倒れている人が心肺停止しているかどうかを確認するには、呼吸と脈拍の有無を確認することが必要です。

呼吸の確認は、口や鼻に顔を近づけて息をしているかを確認すると同時に、胸の上がり下がりを確認して呼吸運動の有無をチェックします。一方、脈拍の確認は、首の脇や手首、脚の付け根などの太い血管に触れ、拍動を触れるかを確かめます。
心肺停止の確認は、これらのチェックポイントをなるべく早く評価することが大切です。

また、心臓が停止した直後の人では「死戦期呼吸」と呼ばれる呼吸運動が見られることがあります。
死戦期呼吸とは、正常の呼吸とは異なって胸の上がり下がりがなく、顎だけが動いている呼吸のことです。

一見、呼吸があるように見えますが、肺に酸素が送られていないため呼吸停止と同じ状態と考えられます。このような死戦期呼吸が見られる場合も、心肺停止として早急に蘇生処置を行う必要がありますので見極めを誤らないようにしましょう。

心肺蘇生とAEDの手順

実際に倒れている人に遭遇したら、上記の手順で意識・呼吸の有無を確認しましょう。意識がなければ、救急車を呼びAEDの準備をしてください。
意識があるようなら、倒れている人自身に状態を確認し、必要な処置を行ってください。

呼吸なしと判断した場合には気道を確保し、AEDが到着するまで心臓マッサージを行います。

気道確保

心肺停止では、舌が喉の方へ下がって「舌根沈下」という状態になります。舌根沈下が生じると、気道が下によって塞がれるために人工呼吸などを行っても空気が肺の中に入っていきません。このため、心肺蘇生の際には、第一に気道を確保することが大切です。

気道確保は、患者を寝かせた状態で首を後ろに反らせるように下あごを持ち上げます。これを「頭部後屈顎先挙上法」と言い、広く行われる一般的な気道確保法です。しかし、頚椎にダメージがあるような外傷の場合には、首を後屈することで頚椎にさらなるダメージを加えることがあります。交通事故や転落などによる頭部外傷がある場合は行わないようにしましょう。

心臓マッサージ

肘を伸ばし、まっすぐに体重をかけて、胸の中央部を手の付け根で押します。
成人の場合は深さ約5cm、幼い子供の場合は、胸の厚さの三分の一が沈み込むように、1分で100~120回のペースで強く押します。

AED

AEDが到着したら、AEDを装着します。
まずAEDの電源を入れると、音声ガイドが流れるのでガイドに従いながら操作を進めます。

ガイドに従い、電気を流すためのパッドを右胸と左わき腹に貼ります。すると電気ショックが必要かどうか、AEDが判断します。

電気ショックが必要と判断された場合には、ショックボタンを押して電気ショックを行います。その際には、「電気ショックが必要です。体から離れてください。オレンジ色のショックボタンを押してください」と音声ガイドが流れます。

その後も音声ガイドに従いながら心臓マッサージを続け、救急車の到着を待ちます。救急車が到着するまでパッドは剥さないようにしてください。

AED普及の重要性

AEDが普及すれば、心肺停止からの死亡率を低下させ、多くの命を救うことができます。救急車が現場に到着するまでの平均時間は約8.6分です。心室細動が起こり、心臓が血液の供給をストップしてから電気ショックが成功するまでの時間が1分経つごとに、生存率は約7~10%低下するといわれています。
また、心室細動が発症から3~4分以上経過すると脳が障害を起こし、回復が難しくなります。

心室細動の対応は時間との勝負であり、1秒でも早く対応しなければなりません。
つまり、10分弱かかってしまう救急車の到着を待つのではなく、近くにいる人がAEDを使ってできるだけ早く処置を行うことが重要なのです。

AEDが普及すれば、それだけ処置を早く行える確率が高まり、結果として多くの命を救うことにつながります。

おわりに:AEDで多くの命が救える。心肺蘇生の流れを理解しておこう

心臓発作はいつ起こるかわかりません。心室細動で心停止になってしまった場合、迅速に適切な処置ができるかどうかが、倒れた人の命を左右します。
慌てずに的確な対処を行えるよう、心肺蘇生の方法やAEDの使い方を日頃からシミュレーションしておきましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

使い方(6) 救急車(7) AED(7) 心臓マッサージ(2) 死亡率(1) 心肺停止(4) 心室細動(5)