「喘息=子供の病気」は間違い?高齢者の喘息が増えている理由は?

2018/2/22

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「喘息=子供の病気」というイメージをお持ちの方は少なくないようですが、いま、高齢者が喘息を発症するケースが増えているといわれています。今回の記事では高齢者の喘息について、原因やリスクなどを解説していきます。

喘息の基礎知識

喘息とは気管支が炎症を起こすことで、肺への空気の出入りが困難になる病気です。症状としては、せきや喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難等が発作的に起こります。喘鳴とは、呼吸時に空気が気管を通る際、「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」という雑音を発することです。

喘息は、症状は軽度のものから、重度になると死に至るものまであります。原因物質はさまざまですが、ハウスダスト、カビ、小麦粉などの生活環境から発生する物質や、蕎麦やカニなどの食べ物、痛み止めや解熱剤などの薬剤があげられます。一方で、全体の約3割が原因不明と言われます。

高齢者の喘息の特徴と原因について

近年、喘息に悩む高齢者が増えてきました。喘息の発作が原因で亡くなってしまう方の平均年齢は高く、高齢者にとって喘息は命に関わる重篤な問題と言えます。

高齢者の喘息には、さまざまな特徴があげられます。発作が落ち着いて安定したときでも症状や肺機能の改善が十分でない場合が多く、慢性的な気管支炎との区別がつきにくい、他の病気を併発している場合には多くの薬を飲んでいる場合がある、薬をうまく服用できないことがある、ステロイド依存がみられるなどです。

高齢者が喘息にかかる場合、成人になった後で発症していることが多いです。原因としては、喫煙や受動喫煙によるたばこの煙、汚染された空気の中での長期間にわたる生活、呼吸器感染症、ストレスや疲労などです。

小児喘息の場合は、アレルギー反応が原因となる場合もありますが、高齢者の場合は、アレルギー反応はあまりみられません。したがって、呼吸器の感染症や、環境によるもの、ストレスや疲労による免疫力の低下などが原因で、炎症が治まらずに気道が狭くなった状態が続いた結果、喘息に至ると考えられます。

治療における注意点とは?

高齢者の場合、喘息以外でも持病を抱えている場合があります。そのため、複数の医療機関で治療を受けていることも多いので、診察時にはどんな持病がありどんな治療を受けているかを医師に伝えるようにしましょう。

そして、高齢者の喘息治療において注意しなくてはならないのが、副作用です。ステロイド治療を行うことがありますが、高齢者の場合はステロイドをうまく吸入できないことがあります。そのため効果が低減したり、副作用として口内炎や骨粗しょう症が発症するリスクが高まります。うまく吸入できない場合には、内服薬でステロイドを投与しますが、投与が長期間にわたるため、糖尿病や消化管出血等の副作用が発症する可能性があります。

また、気管支炎拡張薬については、動悸やふるえなどの副作用のリスクがあります。テオフィリンという気管支喘息の薬は、血中濃度が上昇するために副作用が出やすいです。そのため、服用量は少なめにして副作用対策を行います。高齢者喘息は治療を行うことで、生活の質の向上が期待できますが、一方で薬の副作用や合併症のリスクなどの問題もあるのです。

おわりに:高齢者の喘息には適切な治療で生活の質の向上を

近年、高齢化が進む中で、高齢者の喘息も増えています。高齢者喘息には、合併症のリスクや薬の副作用など、小児喘息とは違った問題点もあります。高齢者は喘息が発端となって寝たきりになってしまい、生活の質が下がってしまうケースもあるので、医療機関にて適切な治療を受けるようにしましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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