進行性核上性麻痺患者の介護・看護の注意ポイントとは

2018/2/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

進行性核上性麻痺とは、最初に目や歩行に障害があらわれ始め、最終的には動かすことができなくなってしまう病気です。この記事では、進行性核上性麻痺を発症した場合の介護・看護のポイントについて解説します。

進行性核上性麻痺(PSP)はどんな病気なの?

進行性核上性麻痺は、目を動かしにくくなったり、歩きにくくなったりする症状があらわれ、それらが徐々に進行していく病気です。最終的には目が完全に動かなくなるだけでなく、自分で寝返りをしたり、言葉を発したりすることもできなくなる可能性があります。そのほか、喋りにくさや飲み込みにくさが出てくる、首が後ろに反ってくる、物忘れがひどくなるといった症状もみられます。また、認知能力も悪くなるため、話していても返事に時間がかかるようになります。
進行性核上性麻痺が起こる原因は、タウ蛋白という物質が細胞内に異常に溜まっていくことだと考えられています。タウ蛋白はたんぱく質の一種で、この物質が発症に関係するその他の病気としてアルツハイマー病があります。

介護・看護の注意点①:転倒のリスクを防ぐ

進行性核上性麻痺を発症すると、認知能力が低くなるため、どんな場所や行為が危険か、という認識が鈍くなります。そのため、危険な場所に入ってケガしやすくなったり、身体の動きが不自由になって転倒しやすくなったりします。外出時はなるべく誰かがつき添うようにしたり、頭部を保護する帽子をかぶったりして、転倒によるケガを予防することが大切です。また、自宅には安全な手すりや保護クッションを取り付けたり、つまずくようなものを置かないようにしましょう。目につく場所に気になるものがあるとつい触ってしまう恐れがあるため、危険物は目の届かない場所に置くことも重要です。

介護・看護の注意点②:嚥下障害を防ぐ

進行性核上性麻痺になると嚥下障害が出てきます。嚥下障害が出ると食べ物がうまく飲み込めなくなるため、食べ物や飲み物が気管に入ってむせたり、食べたものをうまく飲み込めなくて長時間口の中にたまり続けたりします。食事をするときは体をしっかりと起こし、少しずつ口に入れてあげるようにしましょう。また、食事に集中できるよう、テレビなど気が散るものを取り除いたり、むせにくくなるよう、食事にとろみをつけてあげたりする工夫も大切です。

リハビリとコミュニケーションの取り方について

体を動かすリハビリは非常に重要ですが、認知能力が悪くなっているため、一人でリハビリに取り組んでもらうことはとても危険です。リハビリをするときは必ず誰かが付き添って、安全を確保しましょう。病状が進行して自分で体を動かすことができなくなったときは、関節が固まらないよう、周囲の人の協力を得ながらリハビリを続けるようにしてください。
進行性核上性麻痺を発症すると思考が緩慢になるため、会話の返答に時間がかかるようになります。焦らず、ゆっくりとコミュニケーションをとるようにしてください。発言をしなくても頭の中では理解していることがあるので、なるべくたくさん声を掛けてあげることも大切です。今までとは違ったコミュニケーションの取り方になりますが、相手からの返事がなくても、話しかけるようにしましょう。

おわりに:進行性核上性麻痺患者の介護・看護では転倒と嚥下障害に気をつけることが大切

進行性核上性麻痺患者を発症すると、転倒や嚥下障害が起こります。このため、移動するときは体を守るものを身につけてもらったり、転ばないよう支えてあげることが大切です。また、食事がうまく飲み込めるよう、食べ物の大きさや調理方法にも気をつけてあげましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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