代表的な腱鞘炎、ドケルバン病はどうやって治せばいいの?

2018/3/6 記事改定日: 2020/4/9
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腱鞘炎にはいくつか種類がありますが、代表的なものに、手首で発症する「ドケルバン病」があります。今回の記事では、このドケルバン腱鞘炎の治療や手術内容について解説していきます。

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ドケルバン病はどんな腱鞘炎?

腱鞘炎は腱鞘(手首や足首などの腱を囲むトンネル状の部位)に炎症が起こった状態のことです。
腱鞘は筋肉の端にある腱を抑え、腱の浮きあがりを予防するために存在しています。腱は動かすたびに腱鞘の中を動くため摩擦が起きますが、あまりに酷使し過ぎると摩擦が酷くなり炎症を起こし、腱鞘炎が起こります。

腱鞘炎には手首にできるドケルバン病、尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)腱鞘炎、指にできる腱鞘炎もあります。

ドケルバン病は手首の親指側に痛みが出るタイプの腱鞘炎で、親指を曲げた状態で手首を小指側に倒したときや、親指を思いっきり伸ばした時に特に痛みが強くなります。親指を伸ばす働きのある腱は3本ありますが、ドケルバン病はそのなかの長母指外転筋腱と短母指伸筋腱という2本の腱に炎症が起こります。

ドケルバン病になりやすいのはどんな人?

ドケルバン病を起こしやすいのは、妊娠出産時期の女性や更年期の女性で、これは女性ホルモンの乱れなどが関係しているためと考えられています。

また、親指だけに負担がかかる動作を繰り返すことが多い人もドケルバン病による腱鞘炎を起こしやすいです。スポーツをする人はもちろんですが、家事仕事や事務職、スマホの使いすぎなどもドケルバン病の原因になることがあります。

ドケルバン病の保存療法の内容は?

ドケルバン病は重症化すると手術をして狭くなった腱鞘を切る治療が必要となることもありますが、基本的には痛みのある方の指や手首を安静に保ち、鎮痛薬などによる薬物療法、炎症を抑えるステロイドの注射などによる「保存療法」が行われます。

治療は、手首などに負担がかからないようサポーターやシーネなどで固定し、痛みをおさえるためにシップや痛み止めの飲み薬が使用されることもあります。多くはこれらの治療で自然に回復していきますが、痛みが続く場合は手首に炎症を抑えるためのステロイド注射を行います。

これらの保存療法を続けても症状が改善せず、日常生活に支障をきたしている場合には手術の実施が検討されます。

ドケルバン病の手術療法と手術後の注意点

ドケルバン病の手術では、炎症を起こしている腱鞘の場所の皮膚を切開した後、皮下の神経や組織を傷つけないようによけながら腱鞘を切開して2本の腱を解放し、腱と腱鞘のあいだで摩擦が起こらないようにすることで炎症の改善を目指します。

症状が重いと手術を行ってもすぐには症状が改善しないことがありますが、通常はリハビリをすることで改善に向かい、大半は健康なときと同じように指を使えるようになっていきます。

おわりに:ひどい状態のドケルバン病は手術を検討するのもひとつの手段

ドケルバン病は、症状が重いと指を動かすたびに強い痛みを感じ、日常生活に支障が出ることもあります。保存療法で改善しないものが手術で改善するケースも多くみられるので、担当の医師と相談しながら、自身のライフスタイルを考慮して治療の方法を検討しましょう。

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