記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/22
記事監修医師
前田 裕斗 先生
生理中や生理前の症状として代表的なのは下腹部の痛みですが、腰痛が起こる女性も少なくありません。では、生理に伴って腰痛が起こるのは何故でしょうか?考えられる原因や対処法をお伝えしていきます。
生理(医学的には月経というのが一般的です)前に起こる腰痛は比較的、生理直前の数日間に見られることが多いのが特徴です。痛みの程度も人によってさまざまであり、重くだるい感じの痛みが5日くらい前から出現して生理直前に強い痛みが出現するという場合もあれば、生理開始の前日~数時間前から急に痛みが出現するということもあります。
また、生理中に腰痛が出現するという場合にも、辛いのは初日だけという人もいれば、出血が続いている間はずっと腰が痛いという人もおり、おおよそ腰痛が続く期間は1~10日とされています。
このような生理前や生理中の腰痛の原因は、主に3つあると考えられています。
1つ目はプロスタグランジンという痛みの感受性を高める物質が大量に放出されるからです。特に生理中の腰痛の原因として多いとされており、子宮後屈の人の場合は生理痛というよりも腰痛として症状が強く出現します。また、経血を体外に排出するために子宮が収縮することによって生理痛は起こりますが、プロスタグランジンも筋肉を収縮させる作用があるため、その相乗効果によって腰痛が生理中に起こりやすくなるのです。
2つ目は骨盤内の血流のうっ滞です。特に生理前はホルモンの作用によって骨盤内に血流のうっ滞が起きるため、腰痛が出現しやすくなります。
3つ目は、もともと腰痛となる原因を抱えている場合です。生理中には骨盤の結合を緩める物質が放出されます。そのためわずかではあるものの骨盤の形が変わりやすく、もともと腰を痛めている人はさらに腰痛が悪化することがあります。
以降では、生理中や生理前の腰痛をセルフケアで改善する方法をご紹介します。
鎮痛剤は最も効果的かつ、すぐに腰痛が改善できる方法です。自分に合っている鎮痛剤を生理が近くなった際に持ち歩いておくと良いでしょう。また、ヘルニアなど整形外科的な疾患でなければ温めるのが効果的です。携帯用のカイロや濡れたタオルを電子レンジなどで温めて即席のホットタオルを作り、下腹部や腰骨あたりを温めることで、腰痛が改善できます。
ストレッチやマッサージで腰回りの筋肉を緩めると腰痛改善の効果が期待できます。
また、筋トレなどで体幹を鍛えておくことで腰に負担を掛けない姿勢を維持することができるため、常日頃から意識して取り組んでみるのも良いでしょう。
生活習慣を見直すことは腰痛改善に効果があるとされています。まず、冷え性の人は湯船につかる習慣をつけるなど積極的に身体を温めましょう。
また、冷たい飲み物の摂りすぎも腰痛を悪化させます。パスタやパンといった炭水化物に偏った食生活や甘いものや砂糖の摂りすぎも腰痛を悪化させるため、控えることがベターです。
生理前、生理中の腰痛がどんどんひどくなっているという場合には、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気が隠れている可能性があります。
子宮内膜症では、生理期以外の腹痛や排便痛・性交痛などの痛みが出現します。一方の子宮筋腫では、腰痛以外に貧血や頻尿症状が出現します。
どちらも閉経まで症状は進行していきますし、不妊の原因にもなり得ます。該当する症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
生理前や生理中の腰痛の原因はさまざまです。セルフケアで症状を軽減させることが可能なケースがある一方、生理前や生理中の腰痛には病気が隠れている可能性があります。そのため、腰痛以外にも気になる症状があったり、腰痛が悪化しているという場合には早めに医療機関に受診しましょう。