生理痛を緩和したい・・・どんな薬剤を使えば良いの?

2018/7/23

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

毎月やってくる生理(医学的には月経というのが一般的です)のたびに、酷い生理痛に悩まされている女性は少なくありません。この生理痛を緩和するには、どんな薬を服用するのがいいのでしょうか?以降で詳しく解説していきます。

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生理痛はどんなもの?

生理痛の原因にはさまざまなものが考えられますが、最も有力な説は子宮の収縮です。生理の時に、プロスタグランジンという物質が子宮内膜で作られます。この物質が子宮の筋肉である平滑筋を強く収縮させるため、要らなくなった子宮内膜が剥がれて外に排出されることで生理が始まりますが、この収縮時の痛みが生理痛の原因となるのです。プロスタグランジンは筋肉だけでなく血管も収縮させるため冷えや月経血をうっ滞させる原因にもなります。

生理痛を軽減する効果が期待できる薬剤

生理痛を軽減する効果が期待できる薬剤で代表的なものは、鎮痛剤です。一般的にはプロスタグランジンの合成を阻害する作用を持つ非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。この非ステロイド性鎮痛薬にも様々な種類があり、生理痛が比較的軽度であれば,サリチル酸系であるアスピリン®やバファリン®、鎮痛効果がもっと高く副作用の比較的少ないものとしてはプロピオン酸系のロキソニン®が用いられます。強力な鎮痛効果と即効性を求める場合にはアリール酸系のボルタレン®、フェナム酸系のポンタール®が使用されます。ただし、これらは副作用として消化器症状(胃痛など)を伴う場合があるため、用法・用量を守った使用が推奨されます。

さらに、漢方薬も生理痛の治療に用いられることがあります。漢方薬は症状に直接効果があるというよりも、全身状態を整えることで痛みや病に打ち勝つ力をつけることが目的であり、その人の体格や症状、生活スタイルに合わせて処方されます。

漢方薬は生理痛改善に効果があるの?

ここで気になるのが、生理痛改善に漢方薬は効果があるのかということです。

一般的に、生理痛に対して使用される漢方薬としては、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、温経湯(うんけいとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)があります。

体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちな方の月経困難症、月経痛には桃核承気湯、比較的体力があり、のぼせて足冷えなどのある方の月経不順、月経異常などには桂枝茯苓丸が処方されます。

また、体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向がある方の月経異常、月経痛などには当帰芍薬散、体力中等度以下で、手足がほてり、唇がかわく方の月経不順、月経困難などには温経湯、体力中等度以下で、のぼせ感があり、精神不安やいらだちのある方の月経不順、月経困難などには加味逍遥散というように、体力と症状によって処方される漢方薬は細かく分類されています。漢方薬を処方する際は、漢方医学に基づく診察を行ってその人に合ったものが処方されます。

漢方薬のみで治療を受けたいという場合にも、器質的な病気が隠れていないか、まずは西洋医学での診察を行ってから漢方医学を活用することが勧められます。

おわりに:生理痛の程度や原因によって適した薬は異なる

生理痛の緩和に効果が期待される鎮痛剤。種類はさまざまで、痛みの程度や原因によって適した薬は異なります。低用量ピルが生理痛緩和に役立つこともあれば、漢方薬を使用することで生理痛が緩和されることもあります。どのお薬もその人に合わせて処方がされるため、自己判断でお薬を購入せずに一度専門医に症状を診てもらって、処方してもらうと良いでしょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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