顔面けいれんのボツリヌス毒素治療の副作用について

2018/3/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「顔面けいれん」の治療法の中で、最も一般的なものが「ボツリヌス毒素治療」です。このボツリヌス毒素治療とは、どんな治療法なのでしょうか。副作用と併せて解説していきます。

顔面けいれん(片側顔面痙攣)とは?

顔面けいれんは片側顔面痙攣とも呼ばれ、目の周辺のけいれんから始まり、口元やあごの下へも広がって顔の半分がけいれんするようになる症状です。脳の奥にある血管が顔面神経に接触し圧迫することで症状が起こり、初期では緊張した時などにけいれんが起こってやがてその時間が長くなり、就寝中にも症状が出るようになることもあります。初期には目の周辺にのみけいれんが起こるため、疲れた時などに下まぶたなどがピクピクと動く症状との区別が付きにくいと言われます。

顔面けいれんは40歳代以降の女性の発症率が高く、高血圧や高脂血症などに罹患している人が発症しやすいことから、動脈硬化が進行した血管による顔面神経の圧迫が原因という見方もされるようになっており、精神的ストレスや疲労、睡眠不足などで誘発されやすくなるとも考えられています。

顔面けいれんの治療目的と一般的な治療法

顔面けいれんは早急な治療が必要という症状ではありませんが、急に片目が閉じてしまうほどの重度のけいれんは事故の元になり、また対人関係を築く上での支障となることもあるため、治療が必要となります。

代表的な治療法には薬物療法とボツリヌス毒素治療、手術療法の3つがあります。

薬物療法ではけいれんを抑えるための筋弛緩薬や抗不安薬などが処方されます。ボツリヌス毒素治療は顔面けいれんの治療法の中で最も一般的で、顔の筋肉にボツリヌス毒素製剤を注射してけいれんを鎮めます。

手術療法は神経減圧術で行われ、けいれんしている側の耳の後ろ髪の生え際に沿って切開して頭蓋骨に穴をあけ、顔面神経を圧迫している血管を移動させる方法で行われます。全身麻酔による手術のため2週間ほど入院する必要があり、脳の深部で行う手術ということで幾つかの点でリスクも考えられると言われ、有効性の高い根治療法ではあるものの、顔面神経麻痺や聴力障害などの合併症が起こる心配があり、まれに再発することもあるとされます。

ボツリヌス毒素治療とその副作用について

ボツリヌス毒素治療は、食中毒菌として知られるボツリヌス菌が持つ筋肉を麻痺させる強力な毒素を希釈し、安全にして作られた薬剤を使って行われます。顔面けいれんを起こしている筋肉に注射して、収縮している筋肉をほぐしてけいれんを抑えていきます。対症療法ではありますが効果は高く、3~4ヵ月間効果が持続し、薬効が無くなるころ再び注射する必要があるものの日常に支障が出にくい治療法と言われます。

ボツリヌス毒素治療の副作用としては、薬が効き過ぎることでまぶたが閉じにくくなったり、口角が下がるなどの症状が出ることがあります。また目が乾いたように感じたり視力が落ちたように感じることもありますが、薬効が弱まってくると共に軽減してきます。ボツリヌス毒素という名称ながら相当な量を経口摂取しない限り中毒の心配が無い薬剤で、顔に注射される量もごくわずかということから安全で効果の高い治療法となっています。

おわりに:ボツリヌス毒素治療は安全性の高い治療法。顔面けいれんでお悩みの方は病院で相談を

「ボツリヌス毒素」という名前から、危険性が高いのではと心配される方も少なくないようですが、効果は高く副作用も徐々に軽減していくため、安全性の高い治療法と言えます。顔面けいれんでお悩みの方は、一度専門の医療機関を受診し、治療の相談をしてみることをおすすめします。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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