記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/7/28
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
スマートフォンの普及や日々のパソコン業務で、「ドライアイ」を発症する方が増えています。ただ、ドライアイの症状は、目の乾燥だけではないことをご存知でしたか?以降で、ドライアイの可能性がある症状や、原因となる疾患をお伝えしていきます。
目の充血の原因は、私たちの日常生活の中にあります。
たとえば、スマートフォンやパソコンの画面を長時間見たことによるまばたき回数の減少、目に合ってない度数のメガネやコンタクトレンズの使用、花粉やハウスダストによるアレルギー、結膜からの出血による充血などが挙げられます。
また充血を伴う疾患には、結膜炎やドライアイ、角膜炎などが挙げられます。結膜炎は、目のかゆみやまぶたの腫れ、目やになどの症状が現れます。角膜炎は、充血や目の違和感、痛みなどの症状が現れます。これらの疾患になると、涙の量が減り角膜が傷ついたり、新たな細菌やウイルスに感染する可能性があります。
涙は、涙腺より分泌されて目の表面を覆って鼻へと流れていきます。涙の役割には、水分蒸発の防止、殺菌作用、洗浄作用、栄養や酸素の補給などがあります。涙には油層があり、水分の蒸発を防いで乾燥を防ぎます。また、目の表面に付着したゴミやほこりを洗い流して洗浄します。さらに角膜には血管が通っていないため、涙で栄養分や酸素を補給します。
このような様々な役割を担っている涙の量の減少は、ドライアイをもたらします。ドライアイの原因は、涙の量やまばたきの頻度の少なさ、体調不良等です。涙の量が減れば、目を十分に保護できずに乾燥してドライアイの症状が現れやすくなります。
ドライアイになると、涙の量が減って目の表面が傷つきやすくなります。重症化すれば、数えきれない程の傷が目の表面についたり、目の開けづらさ、充血や目のかすみ、かゆみ、疲れなどの症状が現れます。放置すれば、視力の低下や細菌感染を引き起こす可能性もあります。
ドライアイを伴う疾患には、マイボーム腺炎やシェーグレン症候群があります。マイボーム腺炎は、目の異物感や充血、目の奥がしみるなどの症状が現れます。一方のシェーグレン症候群は、40代~60代の女性に多い疾患で、涙腺が破壊され重度のドライアイになってしまいます。
そして、ドライアイ自体が引き起こす疾患には、角膜炎や角膜潰瘍があります。先述の通り、角膜炎では、目の痛みや充血などの症状が現れます。また、角膜潰瘍では充血や激痛、まれに大量の目やにが生じます。
日常生活の中で私たちができる予防法は、目をこまめに休める、パソコンやスマートフォン、テレビ画面と40cm以上目を離す、室内の湿度を適度に調整する、室内の明るさを適切にする、意識的にまばたきの回数を増やす等です。少し工夫すれば、簡単に取り入れられるものばかりです。
もしドライアイを患った際の対策は、目を温めて血行を促進、市販薬の使用、病院での診察などがあります。
現代のライフスタイルで引き起こしやすい目の疾患がドライアイです。ドライアイを放置すれば、視力の低下や細菌感染を引き起こす可能性もあります。日常生活での対策を行いつつも、悪化した際には市販薬の使用や病院での診察を受けましょう。