記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2025/9/3
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
目のかゆみにはさまざまな原因がありますが、アレルギー性結膜炎により引き起こされるかゆみも多いです。この記事では、アレルギー性結膜炎と目のかゆみの関係性について、治療方法と予防対策のこともあわせて解説していきます。
結膜炎には、アレルギー性結膜炎と非アレルギー性結膜炎があります。アレルギー性結膜炎は、空中のアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)によって結膜に炎症を起こす結膜炎であり、目の充血・強いかゆみ・焼けつくような痛み・目の腫れ・目やに・くしゃみ・鼻水などの症状が現れます。アレルギー性結膜炎のなかでとくに多いものが、カビの胞子や草木の花粉によって起こる「季節性アレルギー性結膜炎(花粉症結膜炎)」と、ハウスダスト(チリ・ホコリ・ダニ・動物の毛・ふけなど)によって起こる「通年性アレルギー性結膜炎(アトピー性結膜炎)」です。季節性アレルギー性結膜炎は春から初夏にかけて多く、通年性アレルギー性結膜炎は1年を通じて起こります。
なお、重症の季節性アレルギー性結膜炎に「春季カタル」があります。春季カタルを引き起こすアレルゲンははっきりわかっていませんが、湿疹・気管支喘息・季節性アレルギーのある男児の発症率が高いといわれています。春季カタルは春夏に発症しやすく、ほとんどの人は成人初期に治まるといわれています。
目のかゆみは、結膜炎によって引き起こされる症状のひとつです。結膜とは、まぶたの裏側と白目の部分をおおっている粘膜のことで、外部からの刺激で結膜が炎症を起こした状態を結膜炎といいます。
結膜炎による目のかゆみは、異物が目に入ったときに免疫細胞(肥満細胞など)が活発化することでヒスタミンが大量に放出され、ヒスタミンが目の知覚神経などを刺激して充血やかゆみを引き起こすことで発生します。涙の量が少なく目が乾いている状態になると、異物が洗い流されにくくなり、炎症が起こりやすくなります。
アレルギー性結膜炎の治療では、まずアレルゲンを特定し、抗アレルギー点眼薬で治療が進められます。かゆみが強いときは抗ヒスタミン作用のあるものが処方され、症状が重い人や毎シーズン繰り返す人などには、予防として抗アレルギー点眼薬と内服薬が処方されることもあります。
かゆみ・目やにがひどいときはステロイド点眼薬が処方されますが、ステロイド点眼薬には眼圧が上がるなどの副作用が現れる可能性があります。なお、ドライアイの人やコンタクトレンズを使っている人は、防腐剤不使用の人工涙液でアレルゲンを洗い流すことで症状が緩和する可能性があります。
アレルギー性結膜炎は、以下の方法でアレルゲンを避けることである程度予防できます。また、規則正しく健康的な生活習慣とバランスの整った食生活を心がけ、適度な運動を習慣化し、睡眠環境を整えて免疫機能を保つことも大切になってきます。
目のかゆみが続く場合、結膜炎による炎症が原因の可能性があります。結膜炎の種類・原因・症状の程度などにより適切な治療方法が変わってくるため、早めに眼科を受診することをおすすめします。また、アレルギー性結膜炎の場合は、アレルゲンとなる花粉・ダニ・ハウスダストへの対策も大切になってきます。