記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/7/31
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
目のかゆみや充血といった症状が続いている場合、「アレルギー性結膜炎」を発症しているかもしれません。今回の記事では、アレルギー性結膜炎の発症原因や治療法を中心にお伝えしていきます。
目のかゆみは「結膜炎」によって引き起こされる症状のひとつです。そもそも結膜とは、まぶたの裏側と白目の部分をおおっている粘膜で、外部からの刺激によってこの結膜が炎症を起こした状態を結膜炎と言います。
結膜炎でかゆみが起こるメカニズムですが、異物が目に入ると身体を守っている免疫細胞(肥満細胞など)が活発化し、ヒスタミンという物質を大量に放出します。これが目の知覚神経などを刺激して充血やかゆみを引き起こすのです。特に涙が少ない乾いた状態だと、異物が洗い流されずに炎症がおこりやすくなります。
結膜炎には、アレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。このうちアレルギー性結膜炎は、空中のアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)によって結膜に炎症を起こすものです。目の充血、強いかゆみや焼けつくような痛み、くしゃみや鼻水、腫れや目やになどの症状がみられます。
アレルギー性結膜炎の中でもっとも多いのが、カビの胞子や草木の花粉によって起こる「季節性アレルギー性結膜炎(花粉症結膜炎)」と、チリダニや動物のふけなどによって起こる「通年性アレルギー性結膜炎(アトピー性結膜炎)」です。季節性は春から初夏にかけて多く、通年性は1年を通じて起こります。
また、季節性の重いものに「春季カタル」があります。春季カタルの原因アレルゲンははっきりわかっていませんが、湿疹や気管支喘息、季節性アレルギーのある男児は発症率が高いです。春夏に発症しますが、成人初期には治まることがほとんどです。
治療ではまずアレルゲンを特定し、抗アレルギー点眼薬を用いることになります。かゆみが強いときは抗ヒスタミン作用のあるものが処方されます。症状が重かったり毎シーズン繰り返す人には、抗アレルギー点眼薬と内服薬が予防に使われることもあります。
かゆみに加え、目やにがひどいときにはステロイド点眼薬が処方されますが、眼圧が上がることがあるので定期チェックが必要です。ドライアイやコンタクトレンズを使っている人は、防腐剤の入っていない人工涙液でアレルゲンを洗い流すのも有効です。なお、市販の目薬には防腐剤が入っているので、まずは眼科医に相談しましょう。
予防の基本はアレルゲンを避けることです。まず、季節性の花粉が原因で発症する場合は、天気のいい日の外出を避け、窓を開けたり外に洗濯物を干したりせず、外出後は玄関先で服を払い、手と顔を洗うことが大切です。コンタクトレンズははずして花粉防護用のメガネなどを使うことも有効です。
ダニが原因の場合は、丁寧な掃除、布製のもののこまめな洗濯が基本です。室内で動物を飼うのも避けた方が無難です。換気をして高温多湿を避け、天日干しした寝具に丁寧に掃除機をかけ、空気清浄機も利用します。また、免疫機能を保つために、バランスのよい食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけることも大切です。
目のかゆみが続く場合、結膜が炎症を起こしている可能性があります。結膜炎の種類や原因によって有効な治療法は異なるので、早めに眼科を受診してアレルゲンを特定し、原因にあった目薬を処方してもらいましょう。