トリコモナス腟炎は放置すると危険?どんな症状に注意すればいい?

2018/2/22 記事改定日: 2018/7/30
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

デリケートゾーンのかゆみが続いている場合、もしかしたら「トリコモナス腟炎」を発症しているかもしれません。今回の記事ではトリコモナス腟炎について、特徴的な症状や発症原因、治療法などを解説します。

トリコモナス腟炎の原因とは?

トリコモナス腟炎は、トリコモナス原虫が性器内に入り込み炎症を起こす病気です。主に腟や子宮頸管に寄生するので、感染経路は主に性交渉によります。感染源が細菌や真菌ではなく、原虫ということもあり、比較的生命力が強く、共有したタオルや下着などに付着したトリコモナス原虫が、感染を拡大させるケースも少なくありません。

便器や浴槽での接触でも感染する可能性があるなど、性交渉以外でも感染が広がるリスクが指摘されています。共同浴場やスポーツジムなどでの感染の可能性があり、性交渉の心当たりが無いときでも罹患するリスクがあるのです。
男性にも感染しますが、女性の患者の方が多い傾向があります。

トリコモナス腟炎の症状とは?おりものの臭いや色は変化する?

トリコモナス腟炎の典型的な症状は、おりものの際立った変化です。透明の水っぽいおりものや、黄緑色の泡だった悪臭を放つおりものが増加がみられます。

さらに外陰部に強いかゆみを自覚することがあり、灼熱感を覚えることも珍しくありません。これらは腟に炎症が発生していることを意味していますが、さらに病状が進行すると性交時の不快感や性交痛を伴うことがあります。

また、腟と尿道は近接しているため、尿道にも炎症が波及すると膀胱炎などの尿路感染症を併発し、排尿痛が引き起こされることもあります。

男性に感染したときの症状は違う?

男性にも感染者のパートナーを介してトリコモナスが感染することがあります。しかし、男性の場合、感染したとしても90%以上は症状がないとされています。
自覚症状がある場合でも、尿道からの微量な分泌物や排尿時の痛み、尿道のかゆみや灼熱感、違和感などが生じますが、2~3週間で自然に改善することがほとんどです。これは、男性の場合トリコモナスが尿道に感染するため、排尿時にトリコモナスが尿と共に洗い流されるためであると考えられています。
しかし、症状がなくてもトリコモナスが尿道内に潜んでいる間は性行為でパートナーに感染させる可能性があるため、不特定多数との性行為や感染対策を行わない性行為を日常的に行っている場合には注意が必要です。

トリコモナス腟炎の病原体「トリコモナス原虫」とは?

トリコモナス腟炎の原因は既述のように、トリコモナス原虫です。そしてその正体は、単細胞の原生動物の一種です。PHが5を超えるような酸性度が低い状態にならないと活発に活動することが出来ませんが、酸性度を強める常在菌が減少し、PHが上昇するとトリコモナス腟炎を発症することがあります。

なお、性器以外に、口腔でもトリコモナス原虫が存在することがありますが、仮に口腔内から体内にトリコモナスが取り込まれても、胃酸などの消化液で死滅するので心配はいりません。ただし慢性の肺疾患の患者さんでは、稀に肺にトリコモナス感染症を引き起こすことが知られています。

トリコモナス腟炎の治療方法とは?

トリコモナス腟炎は、腟内部のおりもの等の分泌物を綿棒で採取し、顕微鏡で検索すれば原因菌を特定できます。また多くの場合、子宮頸部からも検体を採取し、他の感染症の有無も調べます。

治療法はメトロニダゾールまたはチニダゾール(抗生物質)を腟内または経口投与することで治療します。1週間〜10日の投与でほとんどの場合は治癒しますが、パートナーも同時に治療を受け、再感染のリスクに対処することが望ましいです。

メトロニダゾールやチニダゾールを服用後、72時間は飲酒を控える必要があるのは、これらの薬剤を投与しているときに飲酒すると吐き気やけいれん・頭痛などの副作用を招く恐れがあるからです。また、完治が確認されるまでは、避妊具を使用し二次感染を予防する必要があります。

自然に治ることはある?放置するとどんなリスクがある?

トリコモナスは自然に治ることはなく、治療によってトリコモナス原虫を退治する必要があります。
トリコモナス腟炎自体は悪臭のあるおりものや外陰部のかゆみ、灼熱感を生じるものですが、腟の自浄作用が低下することで細菌性腟炎にかかりやすくなり、クラミジアなどの他の性感染症に感染しやすくなります。その結果、将来的に不妊症になることもありますので放置せずに必ず病院を受診して治療を受けるようにしましょう。

放置することで起こるリスク

トリコモナス腟炎を放置すると、症状が一旦よくなっても再発を繰り返すことが多く、炎症が腟内だけでなく卵管や骨盤内にまで波及するとそれらの重要な部位に癒着が生じて将来的に不妊症になるリスクが上昇します。
また、妊娠時にトリコモナス腟炎を再発すると、絨毛膜羊膜炎などを発症して流早産につながることも少なくありません。

おわりに:性交渉以外でトリコモナス腟炎に感染するケースも。該当する症状があれば早めに病院へ!

トリコモナス腟炎は性交渉による感染のケースが多いですが、共同浴場やタオルの共有が原因で感染してしまう場合もあります。トリコモナス腟炎は自然治癒することはないので、放置すると危険です。陰部の強いかゆみやおりものの異変などに気づいたら、早めに婦人科を受診してください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

かゆみ(79) おりもの(40) 性交痛(11) メトロニダゾール(7) 排尿痛(26) トリコモナス腟炎(5) 性交渉(3) 黄緑(1) 悪臭(5) トリコモナス感染症(1) チニダゾール(1)