唇に水ぶくれができてかゆいのは口唇ヘルペスかも??症状と対処法について

2018/3/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

唇にかゆみを伴う水ぶくれが出現した場合、それは「口唇ヘルペス」かもしれません。今回の記事では、この口唇ヘルペスの特徴的な症状や対処法などについてご紹介していきます。

口唇ヘルペスとはどんな疾患?

口唇ヘルペスはヘルペスウイルスが原因の感染症で、口の周りに水ぶくれを生じる病気です。風邪をひいたり、疲労が蓄積して体の免疫機能が低下したときに、よく発症します。多くの場合子供の頃に家族間で感染し、以来潜伏感染していることが多いですが、免疫力が低下したタイミングでウイルスが暴走し、再発を繰り返すようになります。

ヘルペスウイルスには、「単純ヘルペスウイルス1型(HHV-1)」「単純ヘルペスウイルス2型(HHV-2)」「水痘・帯状疱疹ウイルス(HHV-3)」などがあります。HHV-1は、口唇ヘルペスやヘルペヘルペス性角膜炎、ヘルペス性歯肉口内炎、カポジ水痘様発疹症など、HHV-2は性器ヘルペスやヘルペス性髄膜炎、臀部ヘルペス、HHV-3は帯状疱疹や水ぼうそうの、それぞれ原因となるウイルスです。

口唇ヘルペスの症状とは?

口唇ヘルペスの主な症状は、唇やその周辺の皮膚に生じる痛みを伴った水ぶくれです。症状はいくつかの段階を経て進行していき、初期ではかゆみやヒリヒリとした痛みを感じます。その後、痛みやかゆみを感じていた部位が赤く腫れるようになり、さらに数日後には赤く腫れていた部位に水ぶくれが見られるようになります。水ぶくれは1〜2週間程度で、乾燥しかさぶたになり自然治癒します。

口唇ヘルペスは女性の方が再発しやすい??

ヘルペスウイルスは普段は三叉神経節で潜伏していますが、風邪やストレス、疲労や紫外線などの刺激によって再発します。

特に女性では口唇ヘルペスの再発が多く見られ、実に男性の3倍もの頻度と言われています。そしてこれには、生理(医学的には月経というのが一般的です)が密接に関係していると考えられています。生理前は肌が荒れたり、体調不良に見舞われたりなど身体の免疫力が落ちるので、ヘルペスウイルスもこの時期に活発に活動する傾向があるのです。

口唇ヘルペスの対処法とは?

口唇ヘルペスの治療では、抗ウイルス薬の投与がメインになります。軽症なら抗ウイルス剤配合軟膏を1日数回塗布するだけで改善しますが、中等度以上の症状の場合には、抗ヘルペスウイルス内服薬で治療を行う必要があります。なお、内服薬でも改善しない場合には、入院加療のうえ抗ウイルス薬の点滴注射が必要なケースもあります。

口唇ヘルペスは一度感染すると、ウイルスを体内から根絶することができないため、再発にうまく付き合うのがポイントです。具体的には、初期症状の段階で治療を開始すれば、症状の重症化を防ぐことができ、回復までの時間も短縮されるようになります。症状が出ていないときも、可能な限り疲労やストレス対策を日常生活に取り入れることが、再発防止のためには重要です。

おわりに:ストレスや疲れで再発しやすい口唇ヘルペス。免疫力が低下しないよう注意を

口唇ヘルペスに一度感染してしまった場合、根治させるのは難しいのが現状です。再発しないよう、疲れやストレスを溜めすぎない生活を心がけるようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

かゆみ(79) 痛み(149) 生理(55) 口唇ヘルペス(17) 水ぶくれ(22) 抗ウイルス薬(15)