記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/7/31
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
「スマホ老眼」を知っていますか?いま若い世代に増加傾向にある、近くが見やすいタイプの老眼です。具体的な特徴や対策について、以降で解説していきます。
老眼とは、加齢によって目の中でレンズ機能の役割を果たしている水晶体や、それを支えている毛様体筋と呼ばれる筋肉が衰えることで、水晶体がスムーズな伸縮を行えなくなり、近くのものがぼやけて見えるようになる状態です。
老眼は一般的には40歳代から始まりますが、早い人では30歳代半ばから症状が現れ始め、65歳くらいまでは症状が進むものの、その後の進行は緩やかになって行きます。
老眼の人は、目が無理にピント調節を行おうとするため疲れ目になりやすく、暗いところではさらに見えにくくなり頭痛や肩こりを招くこともあります。このため、目への血流不足で老眼の進行を早めないよう。全身の血行を促す有酸素運動を心がけ、目の体操を行ったり自分に合った老眼鏡をつくるといった対策をしておくと良いと言われます。
加齢が原因で起こる老眼とは違い、スマホ老眼は主に20~30代の若い世代が悩まされている症状です。
スマホ老眼も本来の老眼同様に、目の中の水晶体の調節機能がうまく働かないことでピントが合わせにくくなりますが、老眼とは違い、近くを見るのには問題ありません。逆に遠くのものにピントが合いにくくなります。これは、手元のスマホを見続けたことによって目の筋肉の緊張状態が続いたために起こります。この筋肉の不調は一時的なものとされていますが、度重なるスマホ老眼の症状に見舞われるうちに症状が重くなるケースもあるとされ、注意喚起されています。
なお、パソコンの長時間使用でも同様の症状が起こりやすくなりますが、手元画面の小さな文字を凝視するスマホでは目にかかる負担が特に大きいとされ、パソコン作業を終えた後でスマホを見る機会が増えた人は特に気を付ける必要があります。
スマホ老眼の代表的な症状は、
・目のかすみ
・疲れ目
・ピントがすぐにあわない(スマホの画面から遠くに視線をずらしたとき)
などです。こうしたスマホ老眼やパソコンを見続けることで起こる目の不調は「VDT症候群」とも呼ばれ、デジタル機器が普及して以降に増えた新たな現代病として注目されています。その中でもスマホは特に目に負担をかけやすいと言われ、画面と目との距離が近いことや画面が小さいため文字なども小さく、一度に目に入ってくる情報量の多さも問題視されています。
さらにパソコン画面でも問題になっているブルーライトの影響も少なくないと言われ、それらの影響で目の筋肉が緊張したままとなり近くの物が見えにくくなるスマホ老眼の症状が出てきます。
夕方症状が強まるとされるスマホ老眼の症状は、翌朝には改善すると言われますが、悪化を招かないためにも、目に良いとされるビタミンB群やビタミンEやA、DHAなどを多く含む食品やブルーベリーなどを摂ると良いです。また、スマホ画面を目に優しい光の強さにするなどの調節も重要で、専用フィルムを画面に貼るなどしてブルーライト対策を行うことも有効と考えられます。
「急に遠くのものを見ようとすると、ピントがぼやける」などの症状が若くして見られる場合、スマホ老眼を発症しているかもしれません。これ以上悪化する前に眼科を受診し、ご紹介したセルフケアを実践してみてください。