記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
だるさやイライラなど、さまざまな不調をもたらす自律神経失調症。近年、この自律神経失調症は猫背が原因で発症するという説が注目を集めています。果たしてこれは本当なのでしょうか?
自律神経失調症は、イライラや慢性的なだるさを感じたり、不眠になりがちになったりと様々な症状が出るのが特徴です。症状には個人差があり、全ての人に同じ症状が当てはまるわけではありません。また、自律神経失調症は一般的な疾患概念に当てはまる病気ではなく、決まった診断基準があるわけでもないため、病院を受診しても異常なしと判断されてしまうことがあります。
自律神経失調症の発症には、様々な原因が複雑に絡み合っています。具体的には、女性の更年期に伴うホルモンバランスの乱れや不規則な生活習慣、遺伝的な自律神経の調整機能の乱れや環境の変化などが挙げられ、約半数はストレスが原因とされています。
一見、自律神経失調症と猫背は関係がないように思われますが、実は姿勢は自律神経系に大きな影響を与えると考えられています。ただ、猫背の人すべてが自律神経失調症を発症するわけではなく、あくまでも原因の一つとしてとらえられています。
猫背になると、頭が下に傾き、首が屈曲してる状態になります。この姿勢が長時間続くと、自律神経に負担がかかることになります。特に現代社会ではスマートフォンの長時間使用により、首を下げる猫背のような姿勢が続きがちです。そのため、頭蓋骨と首の骨の境目で、脳脊髄液の循環が滞りやすくなります。脳脊髄液の流れが悪くなると頭痛やめまいを引き起こし、人によっては自律神経失調症を発症してしまうことがあるのです。
ですから、日常生活で長時間猫背のままでいる人は注意が必要です。何故猫背になりがちなのか、スマートフォンを長時間見過ぎていないかなど、自分の生活を振り返ってみるといいでしょう。
姿勢は無意識のうちに悪くなってしまうので、これを正すためには、常に意識する必要があります。まずは鏡の前に立ちましょう。そして横向きになりまっすぐ立って、耳・肩・骨盤・くるぶしが一直線になっていれば、それが本来の理想的な姿勢となります。立っているときに鏡の前でなくても維持できていれば問題ないでしょう。
また、椅子に座ってパソコン業務をしていると、背もたれに背中をつけて深く座ってしまいがちです。理想的なのは、椅子に浅く座り、頭が体の真上にきており、背筋はまっすぐ、顎が前に突き出ていない状態です。股関節と膝関節を直角に曲げるように意識し、足の底をぴったりと床に付けましょう。
猫背は脳脊髄液の流れを悪化させ、自律神経失調症を引き起こす可能性があります。基本的に自律神経失調症は複合的な要因によって発症するので、普段の姿勢を改善しつつ、生活習慣の改善に努めましょう。