記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「いびきがうるさい」とご家族に注意されたことはありませんか?その大きないびきは、将来的に生活習慣病の要因となるかもしれません。両者の関連性について、解説していきます。
いびきを熟睡のサインと認識している方もいるかもしれませんが、実はその認識は間違いです。
そもそもいびきとは、寝ている間にのどが狭くなり、そこを空気が通ることで発生する振動音です。寝ている間は、誰でも舌の付け根が奥へ下がり、周辺の筋肉がゆるむことでのどが狭くなります。しかし何らかの異常があると、通常よりものどが狭くなりすぎていびきを発するようになります。のどが狭くなったことで酸素がうまく取り込めなくなり、無意識に空気を取り入れようとした結果、のどの振動を促して大きないびきへつながるのです。
いびきをかく人は、睡眠時の血中酸素量が健康な人と比較して30%程度低下しています。ひどいいびきは日常生活に支障を及ぼしたり、生活習慣病の原因となる可能性があり、「睡眠時呼吸障害」という病名がつけられています。
大量にお酒を飲んだときや、疲労が溜まっているときなどはいびきをかくことがあります。このよう一時的ないびきは問題ありません。しかし慢性的にいびきをかくような場合には注意が必要です。
慢性的にいびきをかく人にはいくつかの共通点があります。太っている、あお向けに寝る、口を開けて寝る、首が太くて短い、顎が小さい、鼻炎やのどの病気を発症している、などです。この中でも、中高年の肥満がもっとも多い原因です。肥満になると、舌やのどの内側にも脂肪がついてしまうために、のどが狭くなりやすいです。
また、あお向けに寝ると舌の落ち込みが大きくなってしまい、のどが狭くなります。さらに口が開いてしまうために、口呼吸になりやすく、いびきにつながります。肥満体型の人はあお向けで寝る場合が多いので、余計にいびきをかきやすいです。
いびきは生活習慣病と関係があります。大きないびきをかくと、酸素がうまく体内に取り込めず、血中の酸素濃度が低下します。すると、体内に酸素を補充するために心臓が多く血液を送り出そうとして、心拍数が上昇します。さらに、血中の酸素濃度が低下すると、二酸化炭素濃度が高くなり、結果血管の収縮が起こります。この心拍数の上昇と血管の収縮のダブルパンチによって高血圧が促進されます。そして高血圧や血管の収縮を繰り返すことで、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの疾患につながります。
特に、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは生活習慣病を合併している場合が多いです。通常、睡眠時には血管障害を修復するメカニズムが働きますが、睡眠時無呼吸症候群の人は睡眠の質が低下していることにより、血管障害が修復されなかったり、無呼吸にともなう低酸素血症を発症することもあります。
いびきは重くなる前に対処することが重要で、軽いうちであれば自分で治すことが可能です。
一番簡単な方法としては、横向きに寝ることです。横向きに寝ることで、のどが狭くなるのを防ぐことができます。ただし、肥満の人は横向きに寝るのが困難な場合もあります。まずは肥満を解消するのが重要です。
また、横向きで寝たとしても、寝返りをうってあお向けになってしまう場合もあります。この場合は、抱き枕や背中に丸めた毛布などをあてましょう。
なお、睡眠薬を服用しているといびきをかきやすくなります。できれば薬をやめたり、もしやめるのが難しいのであれば、軽い薬に変えたりしましょう。
最近では、いびき防止グッズも販売されています。口呼吸を防ぐためのマウスピース型のものが多いです。市販のものが合わない場合には、歯科医院で作ることもできます。
そして、睡眠時無呼吸症候群を発症している場合には、病院での治療が必要です。早めに受診するようにしましょう。
いびきは、寝ている間にのどが狭くなり、そこを空気が通ることで発生します。一時的で軽度なものであれば問題ありませんが、睡眠時無呼吸症候群を発症しているようなひどいいびきの場合は病院での治療が必要になります。いびきは生活習慣病などのリスクを高めるので、ひどい場合には早めに病院を受診しましょう。