記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
疲労回復などに効果があるとされる「マグネシウム」ですが、このマグネシウムは具体的にどんな食品に多く含まれているのでしょうか?マグネシウムの摂取におすすめの食材を中心に、詳しくご紹介していきます。
マグネシウムは、体内の酵素を活性化して健康を維持するミネラルです。体内には約25gあり、その50~60%が骨や歯に、そのほかは軟組織に蓄えられています。微量ですが血液中にもあり、不足すると骨からマグネシウムが放出されて補えるようになっています。
マグネシウムは、酵素反応に関わるタンパク質合成、エネルギー代謝、筋肉収縮、血圧調整、体温調節などを助ける、生命維持に欠かせないミネラルです。また、ビタミンB群とともに脂質のエネルギー代謝、疲労回復を助けます。カルシウムとのバランスが大切とされ、マグネシウム1に対してカルシウム2~3のバランスで摂取することで、イライラの緩和にも効果があるとされます。
マグネシウムは、精製された食品や加工食品には含有量が少ないという特徴があります。しかし、緑黄色野菜やキャベツ、キュウリなどの「野菜類」、ごま、アーモンド、落花生など「種実類」、大豆や小豆など「豆類」のほか、玄米などの穀類、いも類、魚介類、肉類、卵、プロセスチーズなどの乳類、バナナなど果実類、きのこ類、藻類、ココアやインスタントコーヒー、抹茶などの嗜好飲料類、調味料や香辛料といった幅広い食材に多く含まれています。
ただし、栄養素は相互作用によって役割を果たすものです。マグネシウムを多く含む食品とともに、栄養素をできるだけ失わないように調理を工夫しながら、いろいろな食品をバランスよくとることが大切です。
マグネシウムなどのミネラルやビタミン類をバランスよく多く含む食品に、「黒豆(黒大豆)」があります。黒豆にはイソフラボンなどのほか、黒い皮にはアントシアニンというポリフェノールが豊富です。これは目の健康維持に役立つほか、強い抗酸化力を持ち、糖質や脂質代謝に効果があるといわれています。また、黒豆に含まれるペプチドには血糖コントロールの改善、イソフラボンにはホルモンバランスを整え更年期症状をやわらげる効果もそれぞれ期待できます。
黒豆は味にクセがなく煎っても煮てもよいですが、こうした有効成分を効果的にとる方法として、黒豆茶があります。10g程度を1lの水に入れ、黒い色素が出るまで3~5分煮出すだけで手軽に摂取することができます。
長期のマグネシウム不足には、骨粗しょう症、心疾患、糖尿病といった生活習慣病のリスクを高める可能性が指摘されています。国民健康・栄養調査結果によると、現在の日本人のマグネシウム摂取量は少なく、主食や野菜をきちんととって摂取量を増やすことが望まれています。
マグネシウムの1日の摂取量は、男性で280~320mg、女性で240~260mgとされています。通常の食品から摂取する場合には、尿や汗とともに体外に排泄されるので、耐容上限量は設定されていません。ただし、健康食品やサプリメントなどからとり過ぎると下痢になる可能性があり、適切な利用を心がけることが大切です。
マグネシウムは、精製されていない野菜や豆類、種実、穀物、魚介類などに多く含まれています。黒豆などは栄養バランスのよい食品で、お茶として気軽に利用できます。バランスのとれた食事の中で摂取量を増やしていきましょう。