記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ズキズキする頭痛や、吐き気を伴う頭痛の緩和に効果的な漢方薬・「呉茱萸湯(ゴシュユトウ)」をご存知ですか?具体的な効能や服用時の注意点などについて、以降で解説します。
呉茱萸湯(ゴシュユトウ)とは漢方薬の一つで、4つの生薬から成分を抽出して作られています。
成分の一つ目が、呉茱萸(ゴシュウ)です。ゴシュウというミカン科の植物の果実が原料となっています。呉茱萸には、保温作用、鎮痛作用、中枢神経興奮作用、利尿作用があります。
二つ目が、人参(ニンジン)です。強壮作用や抗ストレス作用があり、活力を与えて、気を補います。
三つ目が、大棗(タイソウ)です。ナツメというクロウメモドキ科の植物の果実を乾燥したものです。強壮作用、利尿作用、鎮静作用があり、胃を丈夫にします。
四つ目が生姜(ショウキョウ)です。ショウガ科ショウガの根茎が原料になっています。発汗作用があり、胃を丈夫にして吐き気を鎮めます。咳を鎮める作用もあります。
呉茱萸湯はズキズキするような頭痛や、頭頂部もしくは側頭部が痛む場合、吐き気や嘔吐を伴うような頭痛がする場合に効果があると言われています。
漢方では、体が冷えると、体の中のめぐりが滞り、頭への「気」や「血(けつ)」が乱れ、頭痛になると考えています。漢方における「気」とは、人の体を支えるすべての原動力のようなもので、「血」とは、人の組織や器官に栄養を与えるものです。そして呉茱萸湯には、体をあたためて、冷えを取り除く効果があると言われています。冷えを取り除くことで「気」や「血」の流れを整え、頭痛を鎮めます。
呉茱萸湯に使われている4つの生薬には、体の冷えを取り除く効果や胃腸の働きをよくする効果があると言われています。呉茱萸と人参には鎮痛作用があるため、頭痛そのものを緩和します。生姜が吐き気を鎮めて、大棗が緊張を和らげます。
服用は、食前もしくは食間の空腹時に行います。顆粒が飲みにくい場合には、お湯で溶かして飲むのもよいでしょう。飲むことで食欲が低下してたり、気持ち悪くなってしまう場合には食後に飲んでも構いません。効果が感じられない場合には医師に相談するようにしましょう。
漢方薬は、病気の原因のみにアプローチするのではなく、体全体の調子を整えることで病気を治していきます。したがって、病気の症状のみではなく、体質や体全体の状態を診断する必要があります。体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。効果が出ない場合には、証を再判定する必要があるかもしれません。
また漢方薬は副作用のリスクもあります。具体的な症状としては、胃の不快感や食欲不振、軽い吐き気、発疹、かゆみ、肝機能の異常などがあげられます。副作用がひどい場合には医師に相談してください。
呉茱萸湯は、ズキズキするような頭痛や、吐き気や嘔吐を伴うような頭痛に有効とされる漢方薬です。西洋薬よりも漢方薬で症状が改善する体質の方も少なくないので、こういった頭痛でお悩みであれば、一度呉茱萸湯の処方を医師に相談されてみてはいかがでしょうか。