記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/3/12 記事改定日: 2019/2/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
頻尿の原因には、膀胱炎のほかにも心因性頻尿があります。これは子供の頻尿の原因で多く見られるものであり、親の対応が回復に大きく関わってくるのです。
この記事では、子供の膀胱炎と心因性頻尿にについて解説しています。
子供の頻尿には病気が原因のものと、心因性のものの2つのパターンが見られます。
病気の場合は、糖尿病による多飲および多尿、尿管と膀胱の接合部が生まれつき弱く逆流を防止する弁の働きがなかったり膀胱や尿道の異常のため尿管膀胱接合部が二次的に弱くなり逆流が発生する膀胱尿管逆流症、尿路感染症や膀胱炎が考えられます。
心因性の場合はストレスから頻尿となってしまっていることが考えられます。
心因性頻尿とはストレスが原因で起こる頻尿のことを言います。
ストレスの原因は子供の成長過程によってさまざまです。
トイレとの結びつきがわかりやすいストレスの例としてはトイレトレーニングなどで頻繁にトイレへ行かされた、トイレの失敗やおもらしなどトイレに関連することで怒られたり恥をかいた、発表会や運動会などでトイレを我慢させられたというものがあります。
その他では環境の変化や家庭内でのストレス、園での人間関係や緊張などがあります。
心因性の頻尿かどうかを見極めるポイントは下記の5つを参考にしてください。
心因性の頻尿は、トイレに気持ちが向かないように他のことで気を紛らわすようにしながら様子を見ていくことで、だんだんとよくなることもあります。
もしも気を紛らわせていても長期間に頻尿が続くようであれば抗コリン薬という薬を使用して、膀胱の過敏性を抑え、膀胱をリラックスさせることで改善されるケースもあります。
心因性の頻尿は、適切な治療を受けつつ、数週間様子を見ていれば、ほとんどの場合は治まってきます。また、子供の成長とともに次第に起こらなくなっていくともいわれています。
心因性の頻尿と膀胱炎は症状が出現しているかどうかである程度鑑別することができます。
膀胱炎には
といった症状がみられ、尿に血液や膿が混じるというような症状がみられることもあります。
膀胱炎だけでは通常熱は出ませんので、熱が出てしまった場合には感染が腎臓にまで到達している可能性が考えられます。
これらの症状がみられる場合は膀胱炎などの病気を疑れますので、病院に連れていき診察をしてもらうようにしましょう。
膀胱炎は子供だけでなく大人でもなる病気ですが、子供の膀胱炎の特徴的な発症要因として挙げられるのが「おしっこトレーニング」です。
トイレでおしっこがうまくできなかったり、おしっこにいきなさいと頻繁に言われると、子供はおしっこに行かないようになってしまったり、おしっこに行きたくないからと水分を摂るのを極力控えてしまうようになります。
そうすると膀胱内に菌が侵入してしまったときにおしっこで洗い流すことができず、菌が繁殖して感染症状を引き起こしてしまうことがあります。
また、トイレの回数などをお母さんが指摘するなどしてしまうとストレスがたまり、ストレスは子供であっても免疫力低下の原因となります。免疫が低下すれば菌に感染しやすくなりますので、膀胱炎となる可能性も高まってしまうのです。
頻尿以外に目立った症状が見当たらず病院でも問題ないと言われた場合、心因性の頻尿の可能性があります。家庭でできる簡単な心因性頻尿のケア方法をご紹介しましょう。
まず大切なのはトイレトレーニング中は叱らないということです。厳しくしかりつけたりプレッシャーを与えるのは逆効果になります。もしもトイレトレーニングがうまくいっていないと感じたら、一度気分転換をして気持ちをリセットしてから、再度トライしてみるようにしましょう。このとき、子供はお母さんの表情をよく見ています。たとえ口で怒っていなくても表情に出てしまうと感づいてしまいます。焦る気持ちや憤りを表情に出さないようにしてください。
また、子供自身もおしっこに行きたくなる回数が多いことを不安に感じている可能性もあります。おしっこの回数が多い理由をわかりやすく子供に伝えてあげましょう。完全に理解できなくてもかまいません。原因を少しでも理解できれば、安心感につながることもあるでしょう。
そして、お母さんが「焦らない」「気にしていない」という姿勢を子供に見せてあげて、安心感を与えてあげることが特に大切です。
子供の頻尿やおねしょに対して改善効果のある漢方薬があります。一般的によく用いられ漢方薬としては、小建中湯や六味丸などがどが挙げられ、ドラッグストアなどで購入することも可能です。頻尿やおねしょに並んでいるときに使用してみるのも一つの方法といえるでしょう。
しかし、子供の頻尿やおねしょは心理的な要因や病気が関与していることがあります。このため、まずは頻尿やおねしょの原因と特定することが大切であり、そのためには病院を受診して適切な検査を受ける必要があります。
安易に漢方薬などの市販の薬に頼るのではなく、まずは病院を受診するようにしましょう。
子供の頻尿は膀胱炎だけでなく、ストレスによる心因性頻尿が考えられます。どちらであっても、大人が子供の様子に気づいてあげて早期に対応してあげることが早期改善につながるでしょう。
また、心因性の頻尿は大人からのプレッシャーが原因になっておることがあります。子供の頻尿に気づいたら、穏やかな心でケアをしてあげるように心がけ、常に自分の言動が子供に圧力をかけていないか振り返るようにしてください。