記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
インフルエンザだと思って病院を検査しても、「発症初期の段階ではウイルス量が少なく、陰性判定が出てしまう」という話を聞いたことはありませんか?では、発症何時間後で検査を受けるのが理想的なのでしょうか?
インフルエンザの検査は、発症後12〜48時間以内に行うのが最適とされています。
ただし、インフルエンザ治療に使う抗インフルエンザ薬が十分な効果を発揮するには「発症後48時間以内に服用開始」することが条件の1つです。このため、実際には発症から12〜24時間以内に検査を受けるのが望ましいと考えられます。
インフルエンザの初期症状である倦怠感、悪寒、身体の痛みを最初に感じてから丸1日以内を目安に、病院でインフルエンザの検査を受けてください。例えば、前日の夜から症状を感じていた場合は翌日の午前中、朝に症状が出始めたのなら、当日中には医療機関を受診するのが良いでしょう。
インフルエンザにかかっているかどうかの判別検査には、迅速診断キットと呼ばれる検査用具を使用するのが一般的です。ほとんどの内科クリニックで保有しており、麺棒のようなものでのどや鼻の奥の粘膜をこすり取り、これを処理液に浸して反応を見ることで、感染しているかどうかを判定します。粘膜をこすり取るときに多少の痛みがありますが、判定にかかる時間が15分程度と短く、簡便で使いやすいのが特徴です。
ただし、インフルエンザウイルスが一定数まで増えていないと反応しないため、発症から48時間以上経過していると、正しく陽性反応が出ないこともあります。
迅速検査キットによる診断が主流であるインフルエンザ検査ですが、その他の検査方法として、以下3つの方法が用いられることもあります。
発症後1週間以内と、回復したころの2回採血を行い、インフルエンザウイルスへの抗体の有無から、インフルエンザ感染を検査する方法です。検査結果が出るまで2週間ほどかかることから、現在ではほとんど行われていません。
発症後72時間以内を目安にのどや鼻の粘膜を採取し、そこからウイルスを分離させ、詳しく検査を行う方法です。検査の精度は高いですが、高度な技術を要し結果が出るまで1週間程度かかるため、一部の医療機関でのみ行われています。
PCRという特殊な医療機器を使い、のど・鼻から採取した液体を分析し、インフルエンザウイルスの遺伝子情報まで詳しく検査・分析する方法です。制度が非常に高いですが、その分高度な技術を必要とするので、主に公的な検査機関において行われています。
インフルエンザと診断されたら、以下のような「一般療法」と「薬物療法」の両方を並行して治療を進めていくことになります。
十分に水分を補給し、しっかり食べて眠る、安静に過ごして体力の温存・回復に努めるなど、自宅でできる基本的な療養方法のことです。
インフルエンザ治療では、原因であるインフルエンザウイルスを攻撃する抗インフルエンザ薬と、症状を軽減するための対症療法薬が一緒に処方されます。抗インフルエンザ薬の代表的なものではタミフル®・リレンザ®・イナビル®などがあり、対症療法薬では、主にロキソニン®などの解熱鎮痛剤が処方されることが多いです。
また、インフルエンザから早く回復し、周囲への感染を防ぐために、日常生活において以下のポイントにも気を付けてみてください。
・頻繁な手洗い、うがい、洗顔を習慣とする
・インフルエンザウイルスが嫌う湿度の高い状態を保つ
・患者本人も周囲も、インフルエンザウイルスに負けないよう体力を保つ
インフルエンザの検査は、ウイルスが爆発的に増える発症から12〜24時間までを目安に受診するのが望ましいとされています。一般的な内科クリニックや総合病院であれば、迅速検査キットを使った短時間での検査が受けられるでしょう。治療に使われる抗インフルエンザ薬は、発症から48時間以内の服用で高い効果を発揮します。発症を疑う症状が出たら、なるべく24時間以内に病院に行って、インフルエンザ検査を受けてくださいね。