記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/23 記事改定日: 2020/2/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
過食症は、食べ物をつめこみ、満腹でもう入らないのに、なおも食べようとする…といった「食欲の制御ができなくなる」病気です。
激しく自分を責め、抑うつ状態になってしまうこともあります。そういった意味では、過食症は深刻な「心の病」ともいえます。放置せず、きちんとした対処ができるように、この記事で過食症のサインや治療法を理解しておきましょう。
過食症とは、自分の意志で食べることを止められない、過食を繰り返す心の病気です。空腹でないとしても大量に食べ、そして、激しい後悔の念に襲われ、嘔吐や下剤で「リセット」しようとします。
過食症のサインとして、以下のようなものが挙げられます。
このような食習慣を繰り返す場合、過食症の疑いがあります。
過食症の人は、食べ物が常にないと不安になるため、食べ物を大量に買い込んでおかないと落ち着きません。深夜の過食ではとくに「放心状態」になることが多く、無心で食べ続けるため、何を食べたか思い出せないことがあります。実際、多くの過食症の人が「過食しているときは制御が効かない」と言っています。
ただし、たくさんのものを食べる人すべてが、必ずしも過食症であるとはいえません。過食症かどうかの判断は一般の人には難しいので、過食を繰り返している、気になる症状や心身の変化がある場合は、早めに専門医に相談しましょう。
過食症は性格やストレス耐性など患者の元来の性質による要因が大きいと考えられています。具体的には、完璧主義者や自己主張が強い方が発症しやすく、体型に対する認識の歪み、周囲との軋轢、些細なことでストレスを感じやすい性格などが原因として挙げられます。そのほかにも家族や職場など患者本人を取り巻く環境も発症に大きく関与すると考えられています。
また、過食症をはじめとする摂食障害は摂食調節を担う脳の機能に異常が生じることで発症しやすくなることが分かっており、生まれつき、または病気や事故などで脳の一部の機能がダメージを受けると過食症を発症するとの見解もあります。
過食症の治療を行っていくには、自身の摂食習慣の異常や体型に対する認識の歪みなどの病識を持つことが大切です。そのためには、認知行動療法などの精神療法や医師・臨床心理士などとのカウンセリングを重ねていく必要があります。
また、抑うつ気分など精神的な不調が過食症の原因になっていると考えられるケースでは、抗うつ薬などによる薬物療法が行われることも少なくありません。
過食症は、うつ病や不安神経症などの深刻な精神疾患を引き起こす危険性があります。また、過食症の人は、体重増加で肥満になると思われがちですが、嘔吐や下剤で食べたものを出してしまうため、平均よりやせ型が多いです。そのため、見た目からは判断することが難しいと言えます。
過食症はそのままにしておくと、深刻な健康被害に発展することもあります。早期発見できるように、心身の変化に気がついたら早めに病院に相談しましょう。