手足口病の原因ウイルスの種類は?どうやって除菌すればいいの?

2018/4/23 記事改定日: 2019/7/12
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

乳幼児が発症することの多い手足口病ですが、どんなウイルスが原因で発症するのでしょうか?また、発症するとどんな症状が現れるのでしょうか?治療法と併せて解説します。

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手足口病の原因ウイルスと感染経路は?

「手足口病」は手足や口の中などに水疱性の発疹がでるウイルスの感染によって起こる感染症です。
主に夏に流行し、患者の9割前後は5歳以下の乳幼児となっています。

ウイルスの種類

となるウイルスは複数あり、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、そのほかコクサッキーウイルスA10などが原因になることもあります。

感染経路

手足口病の感染経路には

飛沫感染
咳やくしゃみによってウイルスが飛び散る
接触感染
ウイルスが付着した皮膚や粘膜に触れる
糞口感染
便の中に排泄されたウイルスが口に入る

の3つが知られています。

乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは、集団感染が起こりやすいので注意しましょう。マスクの着用や手洗いの徹底などの予防のほか、赤ちゃんのオムツを交換する大人も十分な手洗い・消毒が必要です。

ウイルスを除菌、消毒するにはどうすればいい?

手足口病の感染を拡大させないためには、上で述べたような手洗い・消毒、マスク着用の徹底など適切な予防対策をする必要があります。
消毒に関して注意したい点は、手足口病の原因となるコクサッキーウイルスやエンテロウイルスは一般的に広く用いられるアルコール消毒液が効きにくいことです。

おむつやおもちゃなどをしっかりと消毒を行うには、ハイター®などの次亜塩素酸ナトリウムを用いるようにしましょう。
次亜塩素酸は手荒れが起きやすいため手指の消毒には向いていませんが、最近ではアルコールが効きにくいウイルスに対しても効果がある「酸性アルコール」の消毒液も販売されています。これらは手指にも使用することができますので、家族が手足口病を発症したときにおすすめです。

手足口病になると、どんな症状が出てくる?

感染してから3~5日後に、手のひら、足の裏や甲、口の中などに2~3mmの水疱性の赤い発疹ができ、発疹は太ももやお尻など広い範囲にでることもあります
口の中の水疱は破れて潰瘍になりやすく、ひどい痛みを起こします。発症者の3分の1ほどに発熱が出ることもありますが、高熱になることはあまりありません。
手足口病は状態に応じた治療を進めていけば、通常数日から10日間で完治します。

合併症

手足口病は、まれに中枢神経系の合併症などを起こす場合があります。
とくにエンテロウイルス71に感染するとその割合が高くなり、手足口病の典型的な症状がみられず重症化することもあるので注意が必要です。

コクサッキーウイルスA6に感染し、症状がなくなってから1カ月以内に一時的に手足の爪が脱落したといった例もありますが、自然に治ります。

ただ、深刻な合併症を発症させないためにも、経過を注意深く観察し、数日経っても治らないときが再受診しましょう。

手足口病の原因ウイルスの特効薬はある?

手足口病の原因ウイルスの特効薬はなく、特別な治療方法はありません。口内炎に対して鎮痛剤で痛みをやわらげたり、粘膜保護剤の軟膏などが使われることがありますが、基本的に軽い症状で治まることが多いので、経過観察をしながら症状に応じた治療を行うことになります。

のどに痛みがあるときは刺激のある飲み物などは避け、のどごしの良い冷たい飲み物(麦茶や牛乳、冷めたスープなど)を、食べ物はかまずに飲み込める刺激の少ないもの(ゼリーやプリン、冷めたおじや、豆腐など)を食べさせるようにして、栄養不足や脱水を防ぎましょう。

おわりに:手足口病は数日で治るが原因ウイルスの特効薬はない。慎重に経過観察を

手足口病は、手足や口の中などに水疱性の発疹がでるウイルス性の感染症です。
乳幼児に多い病気ですが、症状は一般的に軽くて済み、数日で治ることがほとんどです。
ただし、特効薬はありませんし、まれに合併症を起こすこともあります。注意深く経過観察をし、気になることがあれば医療機関を受診しましょう。

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