記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/7 記事改定日: 2019/2/13
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
口や手足に水ぶくれのような発疹ができる「手足口病」。夏などの暖かい季節に感染が広がることが多いですが、秋や冬などの寒い時期でも発症することはあるのでしょうか?また、予防するにはどうすればいいでしょうか?
手足口病は一般的に夏に発症するイメージのある病気ですが、秋や冬であってもかかる可能性はあります。
手足口病の原因となるウイルスはいくつかあるのですが、エンテロウイルスA71型というウイルスによる手足口病は、秋から冬にかけて流行することがあるのです。そのため、冬であっても油断はできません。
手足口病は原因ウイルスに感染してから3~5日後に症状が出現します。主な症状は手のひら、足、足底、口腔粘膜などの2~3㎜の水疱性の発疹です。まれに肘や膝、お尻にも発疹が見られることがあります。また、口腔粘膜の水疱は潰瘍を形成することもあります。
発症者の約1/3に発熱が見られるものの38℃以下の低めの熱であり、長く続かないことが多いです。通常、症状は3~7日で消失し、かさぶたを形成することなく水疱は消失します。
手足口病の原因ウイルスによっては、重症となった場合に他の症状が見られることがあります。例えば、コクサッキーA6型に感染した場合には、手足口病の症状が消失してから数週間~1か月後に「爪甲剥離症」といって爪が剥がれ落ちる症状が見られる場合があります。
また、エンテロウイルスA71型に感染した場合には髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症にかかることもあります。
手足口病には、現在特異的な治療法や特効薬などはなく、抗生物質なども効果がないとされています。ただ、発疹が出ても痒みが出現することはめったにありません。痒みが出現した場合には、ヒスタミンが含まれた外用薬を使用するのが一般的です(ステロイドを含んだ外用薬を使用することはほとんどありません)。
また、発熱に対して解熱剤を使用することもなく、経過観察をすることが基本です。しかし、高熱によって水分がとれず脱水症状を起こした場合は、点滴を使用するなど対症療法を行います。
また、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱、呼吸が早い、視線が合わない、元気がないという場合には髄膜炎や脳炎に罹患している可能性があり、検査が必要です。すみやかに医療機関を受診するようにしましょう。
手足口病は冬に流行するものも夏に流行するものも、基本的な予防法は同じです。
手足口病は接触感染や経口感染によって感染が拡がりますので、以下のような予防対策を行いましょう。
「手足口病=夏の病気」と思われがちですが、ウイルスの種類によっては冬でも手足口病となる可能性があります。そのため、特に幼稚園や保育園など、子供が集団で生活する場にいれば、いつだって感染する可能性があるのです。手洗いうがいをしっかりと行い、1年をとおして感染を予防していくようにしましょう。