カンジダ性包皮炎は「ラミシール®」で治療できる?

2018/5/2 記事改定日: 2019/10/25
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

カンジダ性包皮炎を治すために水虫薬の「ラミシール®」が使える、といううわさ話を聞いたことがあるかもしれません。
水虫薬が使えるなら、病院に行かなくても治せるのではないかと思うかもしれませんが、本当に水虫薬でカンジダ性包皮炎を治せるのでしょうか。

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カンジダ性包皮炎は、ラミシール®では治療はできない!

カンジダ性包皮炎は、カンジダ菌という真菌(カビの一種)が原因で発症する病気です。ラミシール®は水虫の治療薬として使われているものですが、水虫の原因も真菌のため、カンジダ性包皮炎にも効くのではないか、といわれることがあります。

しかし、ラミシール®は水虫治療に特化した薬であって、カンジダ性包皮炎にも効果がある訳ではありません。
また、包皮炎の原因となる原因菌はカンジダ菌だけでなく、黄色ブドウ球菌や大腸菌といった細菌が原因の場合もあります。

このような理由から、カンジダ性包皮炎の治療に安易に水虫薬を代用することは避けるべきです。

カンジダ性包皮炎は市販薬じゃ治せないの?

病院でカンジダ性包皮炎を治療する場合、塗り薬タイプの抗真菌薬を使います。

一般的には刺激の少ない軟膏タイプを処方することが多いようです。
もし、かゆみや赤みが出ている場合は、ステロイドが微量に含まれた塗り薬か、塗り薬タイプの抗真菌薬と微量のステロイドを含んだ塗り薬を一緒に使うこともあります。

病院に行くのは恥ずかしいからと市販薬で治したいと思う気持ちもわかりますが、病気の治療には症状や原因に合うものを選ぶ必要があり、カンジダ性包皮炎の治すためにも適切な治療薬が必要です。

症状を長引かせたり、再発させたりしないためにも、病院で治療することをおすすめします。

病院で処方されるカンジダ性包皮炎の治療薬

病院で処方される、カンジダ性包皮炎の治療薬には以下のものがあります。

カンジダ包皮炎の治療薬

抗真菌薬の塗り薬
  • アスタット®軟膏
ステロイド含有の塗り薬
  • グリメサゾン®
  • キンダベート®
  • ロコイド®

カンジダ性包皮炎と細菌性包皮炎を混合している場合の治療薬

抗生物質の内服薬
  • オゼックス®
  • フロモックス®
  • クラビット®
  • クラリス®
抗生物質の塗り薬
  • フシジンレオ®
  • クロマイP®
抗真菌薬の塗り薬
  • アスタット®軟膏
ステロイド含有の塗り薬
  • グリメサゾン®
  • キンダベート®
  • ロコイド®

カンジダ性包皮炎を放置するとどうなる?

カンジダ性包皮炎を放置しても、症状が軽ければ自然に治ったように思うかもしれません。しかし、これは原因菌がなくなったわけではないので、免疫力の低下などで再発する可能性があります。

また、放置すると症状が長引くだけでなく、尿道狭窄(尿道が狭くなる病気)や鼠径部リンパ節腫脹(足の付け根にしこりができる病気)といった合併症を引き起こす恐れもあります。また最悪の場合、陰茎がんを招く恐れもあります。

こうした合併症を併発しないためにも、病院での早期治療がとても大事なのです。

カンジダ性包皮炎の症状

カンジダ性包皮炎の多くは自覚症状がないとされていますが、亀頭や包皮のかゆみ、発赤のほか、排尿時の痛みなどを伴うことがあります。また、悪化すると尿道炎を起こして陰茎の腫れや発熱などを起こすことも少なくありません。

カンジダ性包皮炎は一度発症すると、症状がよくなっても疲れが溜まったり風邪をひいて体調を崩したときなどに再発しやすいのが特徴です。
正しい治療をして再発を予防するためにもかゆみや赤みが続く場合はできるだけ早く病院を受診するようにしましょう。

おわりに:カンジダ性包皮炎は、「必ず」「早めに」病院で治療しよう

水虫薬は水虫治療のために開発された薬なので、カンジダ性包皮炎の治療に使うことはできません。自己判断で市販薬を使うと症状が悪化してしまう恐れもありますし、症状が長引くとパートナーに菌を感染させてしまったり、合併症を引き起こす恐れがあります。恥ずかしがらずに病院でしっかり治しましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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