妊娠初期の風邪の症状とは?妊娠の兆候と似てるって本当?

2018/5/18

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

妊娠初期には、咳や鼻水、微熱など風邪に似た症状が現れることがあります。妊娠初期の症状と風邪を見分ける方法はあるのでしょうか?また、妊娠初期に風邪を引いたときは、どのように対処すればいいのでしょうか。
風邪薬の胎児への影響についてもあわせて解説していくので参考にしてください。

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咳や鼻水・・・妊娠初期の風邪の症状とは

妊娠初期の中でも、まだはっきり妊娠が判明していない0~4週ぐらいの頃は、妊娠超初期とも呼ばれます。この頃から、ホルモンバランスの変化によるさまざまな症状が女性の身体に現れますが、まだ正確な妊娠判定が出ないため、妊娠によるものなのか他の病気なのか判断ができないこともあります。人によって、妊娠超初期、または妊娠初期の症状は異なりますが、咳や鼻水、熱など、風邪によく似た症状が現れるケースもあります。

妊娠初期症状と風邪の症状は似てるの?

妊娠初期の症状として咳や鼻水、発熱がある場合、「風邪を引いたかも」と考える人が多いかもしれません。特に、まだ妊娠が確定しない超初期の段階であれば、余計に判断が難しくなります。さらに、妊娠中は免疫力が下がりやすいとされているため、実際に風邪をひいてしまっているケースも十分に考えられるのです。

風邪と妊娠初期の症状を見分けるには、まず、風邪に似た症状のほかに、妊娠初期ならではの他の症状がないかを観察してみることをおすすめします。
たとえば、胸の張りや痛み、おりものの増加、腰痛、味覚や嗅覚の変化などは、風邪の症状としては考えにくいものです。これらの症状が併発している場合は、妊娠初期ならではの症状と考えていいかもしれません。他にも、基礎体温を測っている方がいれば、その温度の変化に注目してみるとよいでしょう。本来生理が来てもおかしくない日数なのに、高温期が続いている場合は妊娠による症状、一方、体温が下がり始めた場合は妊娠以外の要因による症状だと考えることもできます。

妊娠初期の風邪、赤ちゃんへの影響は?

妊娠初期は、状態が安定せず、流産へのリスクが特に心配な時期でもあります。このときに風邪をひいてしまうと、赤ちゃんへの影響があるのではないかと不安になる方も多いでしょう。しかし、この頃に起こる流産は、母体の状態とは関係なく、染色体異常などが原因である場合が多いとされています。そのため、ただの風邪であれば、基本的には心配する必要はありません。くしゃみや咳などによる体の衝撃も、赤ちゃんに影響があるほどのものではないですし、栄養を摂ってしっかり体を休めれば、風邪による症状は徐々におさまっていくでしょう。

しかし、風邪をきっかけとして、肺炎などの重い病気にかかってしまったり、風邪ではなく別の感染症にかかっていたりする可能性もゼロではありません。お母さんの体力の減少にもつながるので、不安があるときは病院に行き、診断を受けるようにしてください。

風邪を引いたときの治し方は?

「病院へ行く前に何とかしたい」というときは、風邪を治すため以下のことに注意しましょう。

とにかく安静にして体を休めること

当たり前といえば当たり前ですが、妊娠初期はまだ普段と同じように動こうとしてしまうこともあると思います。忙しい毎日を送っている方ほど、休むことをためらうものですが、これ以上体力を消耗させないことを考えるべきです。熱が出ている場合は、冷却ジェルシートや氷枕などで頭やリンパ節(脇など)を冷やしながら、熱が下がるのを待ちましょう。

水分補給をしっかり行うこと

普段の風邪のときももちろん大切ですが、特に妊娠中は、脱水症状や妊娠悪阻(にんしんおそ)の危険性を避けるためにも、水分を意識してとる必要があります。脱水症状は、母体だけでなく赤ちゃんにとっても非常に危険です。吐き気などがまだなければ、スープやうどんなどの、口当たりがよく消化がよいもので栄養を補うようにしてください。

風邪薬を飲んでも大丈夫?

風邪を早く治したいときは、風邪薬の力を借りたいものです。

妊娠超初期の場合は薬の影響に敏感になりすぎずともよいでしょう。これは受精から2週間(妊娠4週目の中頃)ぐらいまでは、「All or noneの法則」というものがはたらくとされているからです。
「All or noneの法則」とは、薬の影響を強く受けた場合、そもそも着床しないか流産となる。一方妊娠継続となり育ってきた胎児には影響がないという考え方です。一般的にはこの時期に内服した薬による催奇形性はないとされています。

しかし妊娠4週~7週以降になると、催奇形性のリスクが高まるため、薬の服用には慎重になる必要があるでしょう。妊娠の可能性があるときには、市販薬を自己判断で飲むことはせず、医師に相談の上必ず病院で処方してもらってください。知らずに飲んでしまって不安なときも、まずは報告・相談してみましょう。
しかし一方で、病院では、ほかの患者さんからの別の病気をもらってしまう恐れがあります。受診のときは必ずマスクをし、帰ってきたらうがい手洗いを徹底しましょう。
高熱が数日間続いたり、咳やのどの痛みで眠れなかったりする場合は、他の病気の疑いもあるので病院に行くことをおすすめしますが、微熱程度であれば、自宅で安静にして様子をみてもいいかもしれません。

おわりに:妊娠の可能性があるときは自己判断での薬の服用は避けよう

妊娠初期には、咳や鼻水、発熱など、風邪とよく似た症状が出るケースもあります。免疫力の低下により実際に風邪を引いている場合もあるので、自分で判断するのは難しいところです。ただの風邪であれば、自宅でしっかりと療養すれば数日で快復します。その際、妊娠の可能性がある場合は、自己判断で市販の薬を飲むのは避けましょう。

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