帯状疱疹で熱や頭痛は出る?症状が続くときの対処法は?

2018/4/29 記事改定日: 2020/6/8
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

帯状疱疹の症状といえば、水ぶくれや発疹、皮膚の痛みやかゆみが代表的ですが、発熱や頭痛もあらわれるのでしょうか?熱が下がらないときや頭痛が治まらないときの正しい対処法について解説します。

帯状疱疹の症状とは?発熱することはある?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。過労やストレス、加齢などによって体の免疫力が落ちることで、潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化することが原因です。一度でも水疱瘡(みずぼうそう)にかかると、たとえ治療したとしても、多くの人の体内にはウイルスが潜伏したままになっています。

帯状疱疹の代表的な症状

湿疹や水ぶくれなど、皮膚にあらわれるものが挙げられます。しかし、実は初期症状として発熱を伴うこともあるのです。これらの初期症状は風邪とよく似ているため、自分では帯状疱疹による症状だと気づけないこともあります。

帯状疱疹で熱が出る原因

発熱は、ウイルスの力を抑え込むための体の防衛反応のようなものです。帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスで発症するため、このウイルスが活発になり始めると、体もそれを抑え込もうと防衛機能を働かせます。
その結果、疱疹が発症する1~2日ほど前や発症初期の頃に熱が出るケースもあるのです。

水痘・帯状疱疹ウイルスによる発熱の目安は37.5度程度で、それ以上は別の疾患の可能性があります。どちらにしても、早めに病院に行きしっかりと診察を受けるようにしてください。

熱が下がらないときの対処法は?

発熱は、自動的にはたらく体の防衛機能のため、体がウイルスと闘っている証拠です。しかし熱が下がらないときは、別の病気の可能性もあるため、放置しないようにしましょう。

たとえば、単純ヘルペスやコクサッキーウイルスなどの感染症である「カポジ水痘様発疹症」や薬に対するアレルギー「薬疹」、女性に発症しやすい自己免疫性疾患である「皮膚筋炎」なども、発疹に発熱がともなう場合があります。

また、帯状疱疹を発症するときは体の免疫力が低下しているときが多いため、風邪をひいて発熱するということも原因として挙げられます。

帯状疱疹で頭痛が起きることもあるの?

帯状疱疹ができたとき、頭痛の症状が出る方もいらっしゃいます。多くの場合、発熱と同じように、疱疹ができる1~2日ほど前に兆候を感じるケースがあるようです。

帯状疱疹で頭痛が起きる理由

帯状疱疹ウイルスは一度感染すると、「神経節」という神経の集まる部分に潜んでいます。そのため発症すると、神経支配のあるところに症状が現れるのです。神経は、足先から頭のてっぺんに至るまで走っているため、ときには頭部周辺の神経に影響を与えて頭痛の症状が出ることがあります。

帯状疱疹のときに起こる頭痛は、血管が拡張することによる片頭痛が原因といわれています。水痘・帯状疱疹ウイルスは、神経に刺激を与えるため、血管が炎症を起こします。すると、頭部につながる血管が炎症で拡張するため、ズキズキとした片頭痛が発症します。この頭痛は、帯状疱疹の前触れとして起こり、診断の材料にもなります。

帯状疱疹による痛みに市販薬は使わないほうがいい?

帯状疱疹の痛みは体内に潜伏している原因ウイルスが神経を刺激するためです。痛みを抑えるために市販の鎮痛薬などを利用すると一時的に痛みが治まることもありますが、自己判断で市販薬を使用しながらセルフケアを行うのは控えた方がよいでしょう。

というのも、市販の鎮痛剤は一時的に痛みを改善することはできても、帯状疱疹による痛みを根本的に解決することはできないからです。漫然と鎮痛剤の使用を続けると胃炎などの副作用に襲われることも少なくありません。

帯状疱疹の痛みがあるときは、放置せずにできるだけ早めに病院へ行き、神経への刺激を抑えるような薬など痛みを根本的に改善する治療をしてもらうようにしましょう。

帯状疱疹で合併症が引き起こされる?

ウイルスの影響によって、さまざまな部位で合併症が起こり得ます。一見関係のない不調が帯状疱疹によって引き起こされている場合があるので注意してください。

帯状疱疹による合併症の症状
  • 頭痛
  • 発熱
  • リンパ節の腫れ
  • 結膜炎などの目の症状
  • 耳鳴り・難聴
  • 発症した部位の筋力低下
  • 尿や便などの排出機能の低下

帯状疱疹の治療法ではどんな薬を使うの?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因のため、治療の際には抗ウイルス薬を用います。

抗ウイルス薬の種類
アシクロビル、塩酸バラシクロビル、ファムシクロビルなど。

その他の薬

痛みを緩和するための消炎鎮痛薬や、水泡がつぶれて細菌感染を起こした場合のための抗生物質が処方されることがあります。

ウイルスの活動のピークは、疱疹が発生してから3日間ほどといわれています。その期間、もしくはできるだけ早い段階から抗ウイルス薬を使えば、症状の悪化を防ぐことができます。

治りが早くなるだけでなく、体へのダメージも緩和することにもつながります。特に帯状疱疹の場合、治癒後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」になってしまう場合があります。このような後遺症を防ぐためにも、早期治療が大切です。

おわりに:帯状疱疹で発熱と頭痛も起こり得ます。治まらないときは医師に相談を!

帯状疱疹の原因であるウイルスの活性化を抑えるために、体の防衛反応として発熱することがあります。ウイルスは神経節に潜むため、頭部の神経に影響を与えて頭痛を引き起こす可能性も。帯状疱疹は、早期に治療を始めると症状悪化を抑えることができます。なるべく早く病院を受診して適切な治療を受けましょう。

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