記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
皮膚の痛みやかゆみ、赤い発疹や水ぶくれが発生する「帯状疱疹」は、中高年以降発症率が上がるとされます。そしてこの帯状疱疹の発症にはストレスが関係しているとも言われますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
ストレスや疲れは帯状疱疹の引き金になるといわれています。
そもそも帯状疱疹は、過去に水疱瘡(みずぼうそう)にかかったことのある人に発症する病気です。帯状疱疹と水疱瘡は同じウイルスが原因で、最初に感染すると水疱瘡を引き起こします。しかし症状が良くなってもウイルスは体内に残り、全身の神経節(しんけいせつ)に隠れています。水疱瘡になったときには強い抗体がつくられるため、健康であれば抗体がウイルスを見張る役割を果たしていますが、ストレスや疲労で免疫系の働きが弱まりウイルスが暴走を始めると、帯状疱疹の症状があらわれます。
また、高齢になるにしたがって全身機能は徐々に低下していくため、帯状疱疹は高齢者に多くみられます。しかし、若い世代でもストレスや疲労が原因で発症することがあります。
帯状疱疹の特徴的な症状は「痛み」と「水ぶくれ・発疹(ほっしん)」です。
ウイルスは神経節(しんけいせつ)と呼ばれる神経の細胞が集合している部位に潜んでおり、増殖を始めると神経にそって移動を始めます。そのためチリチリ、ピリピリとした何かに刺されたような痛みやかゆみがあらわれ、徐々に強くなっていきます。
ウイルスは神経に沿って移動し皮膚に達すると、赤いブツブツ(発疹)をつくります。そして、さらに水ぶくれが生じてきます。この水ぶくれの中ではウイルスが増殖して炎症を起こしています。
そのほか、頭痛や発熱を伴うこともあります。また、帯状疱疹は全身のどこでも発症する可能性があり、顔面や眼の周辺、耳の周辺に生じたときには、耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺を生じることもあります。いずれにしても早期に治療を開始して、ウイルスの増殖を抑える必要があります。
帯状疱疹が発症すると、身体の中に強い抗体がつくられるため一般的には再発はしないといわれています。
しかし、水疱瘡の後にウイルスが体内に潜んでいたように、帯状疱疹の後もウイルスが消え去るわけではありません。抗体がウイルスの増殖を防ぎ、悪さをしないように見張っているのです。ただし加齢や疲労、ストレスなどが重なったり、抗がん剤治療などを行ったりしていると、免疫系に影響を与えることがあります。もし、ウイルスの活動が抗体のはたらきよりも上回ってしまうときには、帯状疱疹が再発する可能性があります。
帯状疱疹の再発を防ぐためには、以下のような方法があります。
帯状疱疹には、発症と重症化を予防する目的で予防接種があります。帯状疱疹の発症が多くなるとされる50代以降が対象です。ワクチンの効果は10〜15年程度といわれています。費用は自費診療となりますが、おおよそ1万円前後のところが多いようです。近隣の医療機関や、かかりつけの医師に相談してみると良いでしょう。
帯状疱疹は、ストレスや疲労が引き金になります。体調を整えて、健やかな日々を送ることが予防として期待されます。食事や睡眠をきちんととる、疲れたら休養する、適度な運動を心がけるといった、生活リズムを整えることで心身の健康を保つように努めましょう。
帯状疱疹は、過去に水疱瘡になったことがある人は誰でも発症する可能性があります。原因のひとつとしてストレスや疲労が引き金となると考えられています。再発はほとんどないとはいえ、ゼロではありません。一度なったから大丈夫と安心はせず、体調管理に気をつけていきましょう。