記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/25
記事監修医師
前田 裕斗 先生
子宮内膜症は、卵巣やお腹などに子宮内膜とよく似た組織ができる病気です。この子宮内膜症を発症する原因として、生理(月経)中の性行為や食生活が関係しているのではないか、と言われることがありますが、本当にそうなのでしょうか。
生理(月経)中に性行為をすると、経血が逆流して、本来なら体の外に排出されるはずだった経血が体内に戻される可能性があります。その結果、経血に含まれる内膜組織も逆流して、子宮内膜症が発症する可能性が理論的にはあると言われています。ただし、直接的な関係性は科学的には証明されていません。
子宮内膜症と食生活との関係について、これまでにいくつかの研究が行われています。たとえば、子宮内膜症の女性と、そうではない女性の血中のビタミンD濃度を測定した研究によると、重度の子宮内膜症を抱えている女性のビタミンD濃度は、軽度の子宮内膜症の方や子宮内膜症ではない方のビタミンD濃度より低かったことがわかっています。
ただし、現在のところ、子宮内膜症の発症に食生活が関係しているかどうか、はっきりとしたことはわかっていません。
子宮内膜症は、子宮内膜(子宮の内側にある柔らかい組織)とよく似た組織が子宮以外の場所(卵巣、お腹など)にでき、エストロゲンの働きによって増殖と剥離を繰り返す病気です。
はがれた子宮内膜や血液は月経として排出されますが、子宮の外にできた組織は排出できないため、大きくなったり、周辺の組織に癒着したりして、さまざまな影響を及ぼします。
なぜ、子宮の外にこうした組織ができるのかは、今のところ明らかになっていません。ただ、月経血の逆流が発症に関わっているのではないかと考えられています。
子宮内膜症の原因として、生理中に性行為をして経血が逆流するためではないかや、食生活が影響しているのではないかといったことが言われています。現時点では、これらが子宮内膜症の直接の原因なのかどうかはわかっていませんが、子宮内膜症になる可能性を防ぐためにも、日常生活で気をつけるのがよいと思います。