記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/11
記事監修医師
前田 裕斗 先生
「月経が終わっているのにまだ下腹部が痛い」「鎮痛剤を服用しているのに痛みがおさまらない」など、下腹部がひどく痛むとき、子宮内膜症の可能性があります。この記事では、子宮内膜症で最もつらい「痛み」の原因や対処法を紹介します。
子宮内膜症の症状のなかで、もっとも大きいのが「痛み」です。ほとんどの痛みは月経(生理)痛ですが、月経ではないのに下腹部が痛くなったり、腰痛を伴ったりする人もいます。
このような痛みは、月経サイクルの中で1週間前後続く人がほとんどですが、中にはほぼ毎日痛む人もいます。また、月経が始まる数日前から、もしくは月経が終わって排卵が起こるまでの間に痛む人もいます。
子宮内膜症になるとなぜ痛みが出るのか、考えられる原因として、以下のようなことがあります。
・病変組織そのものがまわりの組織を傷つけて痛む
・病変組織が硬くなることによって、まわりの組織をひきつらせてしまう
・プロスタグランジン(痛みの原因物質)が大量に分泌されている
・卵巣付近で病変組織が癒着すると、排卵時に無理がかかって痛む
・病変組織からの出血が正常な腹膜に触れて痛む
・癒着によって血流が減ったために痛む
子宮内膜症の痛みに対処するために日常生活でできることがいくつかあります。たとえば、冷えないように体を温めたり、食事を改善したりすることです。
まず、体を温める方法として、冬であればマフラーや靴下の重ね履き、使い捨てカイロを使う、長袖の下着や腹巻を着用するといったことが挙げられます。また、夏も露出の高い服装は避けましょう。特に、ノースリーブや素足にミニスカートなど、肩や足腰を出す服装は控えてください。
また、体を温める点では足湯もおすすめです。足湯は、お風呂より少し熱めのお湯をバケツに入れ(ひざ下10センチぐらい)、30分くらい温めます。冷めてきたら足せるよう、そばに熱いお湯を用意しておいてください。30分経ったら足を出します。もう少し本格的に温まりたい場合は腰湯がおすすめです。湯船に少しぬるめのお湯を張り、胸から下を20分程度温めてください。時間が経ったら、体の水気(汗も含む)をしっかり拭き取り、体が温かいうちに洋服などを身につけましょう。
体を温めると、下腹部の痛みを和らげる効果はもちろん、痛みがひどくなるのを抑える働きもあります。
子宮内膜症の痛みをやわらげるために、食事を見直すのもおすすめです。食事の改善のポイントとして、以下の3つがあります。
・動物性脂肪が多い食べ物は控えめにする
・食物繊維が豊富な食べ物を心がけて便秘を改善する
・体を冷やす食べ物を極力避ける
痛みを和らげるのにおすすめの食材は、体内のエストロゲンの作用を弱める効果があると考えられるものです。
たとえば、植物性エストロゲンを含む豆腐や納豆といった大豆製品、ビタミンBやビタミンEを含む食材(玄米、豆類など)などが、エストロゲンの影響を抑える効果があると言われています。特に、ビタミンB6は炎症を鎮める働きがあると言われています。また、ミネラル類(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)もおすすめです。
子宮内膜症の痛みの原因はまだ解明されていませんが、体を温めたり、食事を改善したりすることで痛みを和らげることができると言われています。少しでも快適に過ごせるよう、できるところから取り入れてみてください。