記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/25
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期にお腹の張りを感じることは、一般的といわれていますが、危険なお腹の張りはあるのでしょうか。
この記事では、妊娠初期に感じるお腹の張りの原因について解説しています。初めての妊娠のときは、特に不安を感じやすいものです。不安を解消したり、危険を回避するための参考になると思いますので、きちんと目を通してくださいね。
赤ちゃんの部屋である子宮は筋肉からできています。
のんびりとリラックスしているときは、この筋肉はゆるんでいるので子宮は柔らかい状態ですが、何らかの刺激で筋肉が収縮すると、妊娠初期では軽い生理痛・突っ張るような痛みなどを感じる人が多く、これをお腹の張りと表現します。
張りの強さや痛みには個人差があるものの、妊娠中誰でも感じるものですので、一般的には心配ないものといわれています。
とくに妊娠初期では赤ちゃんの成長に伴い子宮が急激に大きくなるため、子宮の血流が増えたり筋肉が伸びたりすることによっていつもと違う感覚を覚えることでしょう。
また、ホルモンバランスの変化で便秘気味になり、腹痛と張りを間違えてしまう人もいるといわれています。
妊娠初期とはおよそ妊娠15週目までのことを指し、この時期は大変不安定です。
妊娠初期のお腹の張りは基本的には心配ありませんが、切迫流産や早産の兆候として現れている可能性もあります。
切迫流産とは流産をする恐れがある状態ですが、安静にしたり張りを止める薬を服用することで妊娠を継続できることもあります。
妊娠初期の張りで以下の症状がある場合には注意が必要です。
張りがお腹全体ではなく、恥骨の少し上の子宮部分がバレーボールのような硬さに感じられたら切迫流産の可能性があります。
張りと一緒に出血がある場合にも切迫流産が考えられます。
心配なことがある場合はかかりつけの産婦人科に相談しましょう。
妊娠初期にお腹が張る原因として、以下のことがあげられます。
ホルモンバランスの影響で心が不安定なることや、つわりなどによる体調不良のストレス、妊娠中は免疫力が低下しているため感染症にかかりやすかったり、子宮筋腫がある女性は妊娠による女性ホルモンの影響で、筋腫の大きさが変化してお腹に痛みを感じたりするケースがあります。
とくに、子宮筋腫があることは流産や早産のリスク、赤ちゃんの成長を妨げてしまうことも考えられますのであらかじめ医師に伝えておくことが大切です。
散歩やストレッチなどの適度な運動は血行を良くしたり体力を付けたりすることに有効ですが、ジャンプをするような激しい運動や、人や物と衝突する可能性のある運動は危険ですのでやめましょう。
妊娠初期は子宮がものすごい速さで大きくなっていこうとします。
そのため下腹部の違和感や足の付け根に痛みがあることも珍しくありません。
生理痛のような痛みが続くこともありますが、出血がなく赤ちゃんの心音が確認できれば問題はありません。
ですが、お腹の張りが感じられたらまずは安静にしましょう。
自宅にいる場合はベッドなどで横になって休むと良いですが、横になれない場合は座って5~10分安静にします。
乗り物などに長時間乗っていて同じ体勢が続いていると張りが起こることもありますので、長い時間同じ体勢でいるのは避けましょう。
休んでいても張りが治まらなかったり、1時間に何度も張りが感じられたりする場合には注意が必要です。
病院を受診して出血の有無やおりものの状態、いつから張りを感じているか頻度や痛みの程度などをしっかりと伝えてください。
張りは誰にでも起こりうるものですので必ずしも安静でいる必要はありません。
しかし、ひとくちにお腹の張りと言っても生理的なものや妊娠とは関係のないもの、病気などのトラブルを知らせるものと様々です。
いつもと違う張りが感じ、心配な場合は医師に相談してみてください。