記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病と診断されて減量を指示された場合、食事ではカロリーと糖質、どっちを制限すべきなのでしょうか?一日の摂取カロリーの目安や計算方法もご紹介します。
肥満は糖尿病の発症・悪化の原因の一つであることから、糖尿病患者は基本的に食事制限を行いますが、カロリーと糖質どちらを制限すべきかについては見解が分かれています。
まず減量効果について言えば、糖質制限の方が効果は大きいです。国内の医療機関の発表によれば、肥満患者をカロリー制限群と糖質制限群に分けて1年後の体重を測定したところ、前者は平均4.6kgの減少だったのに対し、後者は8.5kgも減少が見られました。また、カロリー制限食は食べられないストレスから途中で挫折する患者が多いですが、糖質制限食では炭水化物などの糖質を減らす必要はあるものの、肉や魚は食べられることから継続できる患者が多い傾向にあります。
ただ、糖質制限は減量スピードは優れているものの、平均して2年後にはリバウンドし、カロリー制限食を行なった人と体重の差がなくなるという指摘もあります。また糖質制限は自己流で行うと、血糖値が急激に低下することで視力に異変が生じたり、筋力が低下したりと体調を悪化させる恐れがあります。人間はタンパク質だけではエネルギーを十分に供給することはできないので、糖分の代わりに筋肉を分解することで、筋力低下などの影響が出るようになるのです。
なお、日本糖尿病学会は、「総エネルギー摂取量を制限せず、糖質のみを制限して減量することは、食事療法としての安全性を担保するエビデンスが不足している」として、あくまでカロリー制限食を支持するスタンスを示しています。
糖尿病患者は食事での摂取カロリーは、平均的な成人男性の場合、一日1600kcalに制限するのが目安です。一般的な成人男性の一日の摂取カロリーは1800〜2200kcal前後なので、糖尿病患者はこれよりも抑えることが重要です。
ただし、上記はあくまで目安であり、性別や身長によって目標の摂取カロリーは異なります。以下の計算で、自分に合ったカロリー摂取量を算出してください。
一日のカロリー摂取量=標準体重(kg)×身体活動量
※標準体重(kg):身長(m)×身長(m)×22
※標準体重1kgあたりの身体活動量:軽作業(デスクワークなど)は25〜30kcal、立ち仕事は30〜35kcal、重労働は35kcal以上
なお、糖尿病患者ですでに肥満の場合は、身体活動量を20〜25kcalとして計算し、まずは体重を5%減らすのを目標にしてください。
カロリーと糖質、どちらを制限すべきかについては見解が分かれるところですが、過度な糖質制限は健康を害し、リバウンドの恐れがあります。定期的な運動も並行しつつ、食事全体のカロリーを見直し、長期的な減量に臨むことが重要です。