記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/22
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期には、体重が増えることも減ることもあります。こちらの記事では、妊娠初期の体重の増減の原因や、お腹の赤ちゃんへの影響、増えすぎてしまった際の対処法などを解説します。
妊娠初期の少々の体重減少は決して珍しいことではなく、体重を無理に増やす必要はありません。これは、人によってはつわりであまり食べられなくなることに加え、妊娠初期に胎児や子宮が急激に重くなることはないためです。女性の体格にもよりますが、妊娠初期に体重が減っても、著しい減少はなく水分が摂取できていれば、お腹の赤ちゃんに影響することはほとんどないといわれています。
つわりとは、全妊婦の5割~8割にみられるものであり、妊娠5~6週から始まって12~16週頃までに消失するものです。つわりの症状は人によって大きく異なり、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、何か食べていないと気持ちが悪くなる、眠気が強い、においに敏感になる、よだれが止まらないといったことが挙げられます。
症状の度合いにも個人差があり、吐き気や嘔吐の症状が強く出るために何も食べ物が受け付けられない、食べてもすぐに吐いてしまうというケースも多く見られ、このために体重が減少することもあるでしょう。
妊娠初期に体重が大幅に減少したり減り続けたりする場合には、妊娠悪阻(にんしんおそ)が疑われます。妊婦の1~2%に認められる妊娠悪阻とは、つわりが悪化することで起こる病気で、治療を要するものです。吐き気や嘔吐などのつわり症状が悪化し、食べ物だけでなく水分も摂れなくなり、栄養不足から全身の代謝異常が引き起こされます。
以下は妊娠悪阻の診断の目安です。
・体重が5%以上減少する(妊娠前の体重から)
・脱水(水分すらも吐き戻してしまう)
・尿中ケトン体が陽性
ただし、妊婦のもともとの体質や体格、体重にも左右されるため、上記の体重減少のパーセンテージはあくまでも目安です。体重が減っているだけでなく、水分も摂れないほどの嘔吐や吐き気、めまいなどの症状がある場合には、速やかに受診してください。
妊娠初期に体重が減る人もいれば、妊娠初期から体重が増える人もいます。以下は、体重増加に繋がると考えられる要因です。
つわりといえば嘔吐や吐き気のイメージが持たれがちですが、「食べづわり」と呼ばれる何かを口に入れていないと気持ち悪くなるタイプの症状が現れるケースは少なくありません。常に何かを食べていることで体重が増加します。
妊娠するとエストロゲン・プロゲステロンというホルモンが多く分泌されるようになります。このホルモンの働きによって水分や脂肪を体内に貯め込みやすくなるため、体重が増えやすくなります。
妊娠中は胎児に栄養を送るために体内を循環する血液や水分の量が増えます。
個人差はあるものの、出産後の乳汁分泌に備えて乳腺が発達し、乳房全体が肥大します。
一般的に、妊娠初期に無理に体重を増やさなくても問題はありません。妊娠中期から後期には体重が大幅にすることが多く、その分妊娠初期はできるだけ体重増加を抑えると良いとも言われています。妊娠初期に体重が急激に増加しないようにするためには、以下のようなことに気を付けると良いでしょう。
栄養バランスの良い食事を摂るようにします。食べづわりの場合はカロリーの高いお菓子を控え、カロリーの低いものを選ぶようにすると良いでしょう。ただし、極端に炭水化物を食べないなどの方法は避けてください。
つわりが落ち着いていれば、30分程度のウォーキングなどを取り入れてみましょう。体調に不安がある場合は事前に医師に相談してください。
体重の変化が把握できるよう、自宅でこまめに体重を量りましょう。
人によって妊娠初期から体重は減少することもあれば増加することもあります。減少量があまりにも多い場合は妊娠悪阻の危険性が考えられ、増加量が多い場合には今後の体重コントロールが難しくなることが考えられます。そのため、妊娠初期から自身の体重の増減に気を付けましょう。