記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
お菓子ばかり食べている。ジャンクフードが大好き。好き嫌いが多い。ちょっとしか食事を取らないetc...ごく普通に、子供にはよくあること。
でも、ちょっと待った。放置は絶対にダメ。そのままにしておくと、不規則な食習慣ならまだしも、肥満、糖尿病、成人病、はたまたメンタルにも影響が出て、うつ病やで不眠で将来苦しむことになります。
子どもを健康的に丈夫に育てるために、ストレスに強くするために、医師監修の子どもの食生活のヒントを紹介します。
大人と子どもは、そもそも必要な栄養、エネルギーが違います。生きるために、炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどの栄養が必要なのは、大人と一緒ですが、子どもの成長のためには、大人より遥かに「適切」な量の栄養が必要です。そして、脳を働かせるため、体を動かすために、エネルギー源となるカロリー(熱量)が必要です。
カロリーは、肉体が消費する飲食物のエネルギー量で、子どもは成長するために一定量の熱量が必要ですが、必要以上の熱量は余分な「体脂肪」として体に蓄積され、早急に肥満化します。
必要な栄養の過不足は、健康上の問題を引き起こし、特に過剰摂取は、肥満だけでなく、成長するにつれ、生活習慣病などの深刻な事態となります。子どもに健康的な食生活をさせれば、もちろん、健康問題の予防になります。
健康のためには、健康的な食生活。よく耳にするフレーズですが、いったいどんなものかと言えば、すぐには出てこないのも事実です。「豆腐に納豆、煮物に漬物、ご飯は玄米!長生きしてる人はそうだ」「揚げ物とか甘いものは食べない。」確かに健康にはなりそうですが、子どもはうれしくなりそうもありません。たのしい家族の食事が、拷問に変わってしまいそうです。
では、多くの医師や栄養士が考える「健康的な食生活」とはどんなものでしょう?もちろん、家庭でできる、できそうなものを当コラムでは、紹介します。
子どもの生涯にわたる健康的な生活のため、親として取り組んで欲しい、いえ、ぜひ、実践して欲しいアイディアを紹介しますので、以下を参考にしてみてください。
・食べるものを増やす
子どもにいろいろな食べ物を食べてもらいましょう。特に野菜と果物が大事です。「料理のレパートリーを増やせ」といっても、現代の多忙なお母さんには、 酷な注文というもの。使う食材を増やしましょう。子どもは、興味津々に新しいものは何でも受け入れるとわけではありません。野菜をミキサーにかけて、カレーやシチュー、スープに入れましょう。
具体的な方法としては、
■ 毎日、数種類の果物・野菜を出す。一緒に買い物して、野菜や果物を選ばせます。
■ 冷凍や缶詰の果物・野菜を使う場合、味付けされていないものを選ぶ。
■ 大豆、魚、鶏肉など、高タンパク・低脂肪の食材を多用する。
■ パンとシリアルは全粒粉のものにする。
■「揚げる」より「蒸す」「焼く」
■ 乳製品(ミルク、チーズなど)は低脂肪タイプを選ぶ。
■ソフトドリンクの代わりに、水や牛乳を十分に飲むように勧める
■ ファストフードやジャンクフードは極力制限する
■ スナックを食べる場合、ドライフルーツやドライベジタブル、それがだめそうなら、ポップコーンを選んでください。
・食品の栄養成分表示をきちんと見る
食品や飲み物のパッケージには栄養成分表示が記載され、1食分または100gあたりのカロリーや栄養などの有益な情報が記載されています。ここで、ラベルを読む際の注意をひとつ。栄養成分は、含有量の順に記載されていることに注意してください。シリアルの場合、砂糖を加えていないタイプが子どもにとってベストです。
・子どものいいお手本になる
「野菜はたくさん食べなさい」「好き嫌いはダメ」「これは食べちゃダメ」と言っても、親がいい見本にならないと、子どもは言うことを聞きません。「おいしい!」と笑いながら野菜を食べたり、子どもの前では、お菓子やデザートを好きに食べないようにしてください。当然、子どもは真似します。子どもは本当に、親が思うよりもずっと親をよく見ています。
・ただしい食習慣を心がける
健康的な食生活は、ただしい食習慣が大事です。健康的な食事といっても、寝る直前に食べても、1日に何回も食べてもいい、というようなことはありません。摂取に適した時間、適切な量があります。
ただしい食習慣の実践のために、以下のことを参考にしてみてください。
・朝食を「朝の習慣」の一部にする。
朝食は、子どもが学び、活動するためのエネルギーをあたえるために絶対的に必要です。朝食は抜かないようにしてください。
・子どもに、どれくらい食べるか決めさせる。
食べ物を押し付けたり、「残さず食べなさい」など強制しないでください。反抗して、もっと食べなくなるか、食事が苦痛になります。
・家族一緒に食べる。
できるだけ、テレビを見ながらではなく、顔を合わせながら食べるようにしてください。
・ゆっくりと食べさせる。
大人になった時、よく噛んで食べることができるようになります。
・満腹感が出たらそれ以上食べるのをやめさせる
肥満の防止になります。
・お菓子やジャンクフードを報酬やお楽しみにしない
習慣化し、精神面に悪影響が出ます。
適切な栄養とアクティブな活動は、健やかな成長と健康上の問題を防ぐ重要なキーです。 子どもが興味を抱くような趣味や運動をみつけてください。そして、毎日、少なくとも1時間、体を動くようにさせてださい。これは、スポーツをするというわけではありません。歩いたり、掃除などの家事をしたりして、「体を動かす」ことです。子どもがじっとしていないのも「体を動かす」ことなのです。テレビ、PC、携帯、ゲームは、1日1~2時間に制限してください。親自身も画面に向かう時間を制限し、子どものいいお手本になってください。
アクティブな活動も、家族全員のライフスタイルの一部になると、子どもは、率先して取り組むようになります。「一緒に」散歩をしたり、自転車に乗ったり、家事をしてください。
また、健康な体重を維持しながら成長すれば、成人になっても健康的でいられます。
以下に、子どもの過体重や肥満から起こる可能性のある病気と深刻な事態を示します。
・心臓病
・糖尿病
・高血圧
・高コレステロール
・喘息
・睡眠時無呼吸
・いくつかの種類のがん
・うつ病
・いじめ
・劣等感や孤独感
・学習障害
・低いコミュニケーション能力
また、子どものための健康的な食事のメリットは大きく、
・健康的な成長発達(身長と体重)
・精神的健康
・学び、集中する能力
・強い骨や筋肉
・病気と闘う力
・より速い創傷治癒力と回復力
・心臓病、脳卒中、糖尿病、がん、および骨疾患のリスクを低下させる
などが挙げられます。
「健康はわかるけど、お金が..」「食生活ばかりに気を配れないし…」
「ただでさえ、食費にはお金がかかっているのに….」もっともな話です。でも、「健康的に」は、常にお金がかかるわけではありません。節約のヒントを紹介します。
・お店で飲み物を買う習慣をなくす
・昼食に残り物を食べる
・作り置きする
・自宅でおやつを作る
文字だけ見ると、ちょっと貧乏くさい気もしますが、
・自宅で淹れたコーヒーを会社に持って行く
・がんばってつくった朝食を昼食にする
・手作りで無添加のデザートをつくる
と意識を変えれば、おしゃれな人に早変わりです。
また、
・買い物はコンビニではなくスーパー
・バリューブランドを選ぶ
・まとめ買いする
・事前に買うものを決める
・家にある食材はすべて使い果たすようにする
などが挙げられます。