記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/29
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠後や出産後に、「もっと~しておけばよかった」「事前にあれをやっておけば…」などと後悔しないように、子作りや妊娠をする前に準備しておくべきことは沢山あります。そのうちの一つが検査です。今回は妊娠前に受けた方がいいとされている様々な検査について解説します。
何故、妊娠前に様々な検査を受ける必要があるのかというと、妊娠後に初めて訪れた産婦人科で何らかの病気が発覚して、妊娠の継続が難しくなってしまったり、母子どちらかの命が危険にさらされてしまう可能性もあるからです。そのような状況にならないためにも、妊娠を希望している人は必ず検査を受けに行きましょう。
もし病気にかかった場合、妊娠することが困難になるケースもまれにあります。内科的な健康診断はもちろんのこと、子宮や卵巣などの病気の検査・予防接種は、妊娠前に必ず受けるようにしましょう。
子宮頚部細胞診という、子宮の頸部から細胞を摂取する検査を行います。病気を患っている場合、妊娠初期であれば経過を見ながら出産が可能なケースもありますが、場合によっては手術となることもあります。
妊娠中は、エストロゲンという女性ホルモンが多量に分泌されているため、もし乳癌を患っていた場合、癌の進行が早まってしまう可能性があります。なので、妊娠前の早期発見及び治療をすることが大切になります。
妊娠初期に母体が風疹にかかると、胎児の脳や心臓に奇形が生じたり、耳が聞こえなくなる「先天性風疹症候群」という病気になる可能性が高くなるので、妊娠前に風疹抗体検査を受けましょう。
自治体によっては妊娠していない女性を対象に風疹の抗体検査を行っている保健所もあるので、予防接種を受けたかどうか不安な人はお住まいの役所に問い合わせることをおすすめします。
妊娠初期(妊婦20週以前)に水疱瘡に感染すると1~2%の割合で胎児が「先天性水疱瘡症候群」(低出生体重、皮膚瘢痕、四肢低形成、脳皮質萎縮、目の脈絡網膜炎など)になる可能性があります。また、分娩前1週間以内に母体に水疱瘡の症状が現れた場合、胎児に感染し重症化するおそれがあります。
日本人成人の95%は抗体を持っているといわれていますが、水疱瘡にかかったことがない人には抗体がないため、妊娠する前に予防接種を受けるようにしましょう。
妊娠中は生活リズムや食生活の変化や、ホルモンバランスの影響もあり、虫歯になりやすくなるので、歯の治療は出来る限り妊娠前に済ませておきましょう。
また、過度な緊張やストレスを伴う治療や、麻酔が必要になるような歯科治療は妊娠中は控えてください。
性感染症はパートナーを介して感染するので、夫婦そろってでの治療が必要となります。
クラミジアと性器ヘルペスを治療せずに放置しておくと、お腹の中の胎児に産道感染してしまいます。特にクラミジアは、不妊や子宮外妊娠の原因にもなっているため、妊娠前の検査をしておく必要があります。
上記3つは妊娠初期に病院で検査を行うので、焦って検査を受けに行く必要はありませんが、もしも感染していた場合、母体のみならず、パートナーや胎児にも感染している可能性があるので、心配だという人は妊娠前から検査しておきましょう。
検査は面倒なことではありますが、母体と赤ちゃんの健康のためには必要なことです。事前に検査をしておくことで、安心して出産にのぞめますし、心と体の準備を整えていくことにもつながります。妊娠を希望している人は検査を受けてから、子供を作る計画を立てるようにしましょう。