糖尿病だと癌の発症リスクが上がる!? 糖尿病と癌の関連性

2018/5/4

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病神経障害や腎症など、糖尿病の合併症はよく知られていますが、実は糖尿病は癌の発症リスクも上げると言われています。糖尿病と癌の関連性について、詳しく解説します。

糖尿病と癌の関係

糖尿病(2型糖尿病)の人はそうでない人と比べ、癌の発症リスクは1.22倍であり、中でも大腸癌は1.4倍、膵臓癌は1.85倍、肝臓癌は1.97倍ということが判明しました。糖尿病だとなぜ癌のリスクが上がるのか、はっきりしたことはわかっていませんが、今のところ理由としては以下が考えられています。

  • 不健康な食事:加工肉の過剰摂取や、野菜や果物の摂取不足などの不健康な食事は癌の発症リスクを上げると考えられています
  • 肥満:肥満だと、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモン「アディポネクチン」の量が低下し、がん化しやすくなると考えられています
  • 運動不足
  • 大量の飲酒
  • 喫煙
  • 細胞のがん化:糖尿病患者は筋肉や脂肪に取り込むインスリンの作用が低下しているため、膵臓がインスリンを過剰分泌するようになっています。このインスリンは細胞を成長させるホルモンですが、増えすぎると細胞をがん化させると言われています

血糖コントロールの悪化は癌のサインかも

先述の通り、糖尿病患者は特に肝臓癌と膵臓癌の発症リスクが高いです。肝臓癌になりやすい理由としては、肥満の糖尿病患者に多い脂肪肝との関連性が考えられます。脂肪肝は肝硬変や肝臓癌につながる主要因の一つです。

また、膵臓はインスリン(血糖値を下げるホルモン)を分泌する臓器ですが、糖尿病で高血糖の状態が持続すると、インスリン分泌のために膵臓に負担がかかります。そして膵臓の機能が低下すると、膵臓癌の発症リスクも上がるようになってしまうのです。

これらの癌のサインとして、血糖コントロールの悪化があります。食事内容の問題やストレスがないのに血糖値が突然不安定になった場合は、主治医に報告の上、腹部超音波検査などを受けるようにしましょう。

糖尿病による癌。手術が受けられないケースも

糖尿病によって癌を発症してしまった場合、抗がん剤治療か手術が必要になります。ただし血糖値が高いと手術がすぐに受けられなかったり、傷の治りが遅いために感染症になりやすかったり、また糖尿病の合併症によって抗がん剤の副作用のリスクが上がったりするために、最適ながんの治療を受けられないケースもあります。このため、がんが発覚した場合は、手術の前後や抗がん剤治療の期間は徹底した血糖コントロールを実践することが重要です。

おわりに:糖尿病はがんの発症リスクが高い。血糖コントロールの徹底を

糖尿病患者は特に肝臓や膵臓の癌の発症リスクが高いです。発症に早く気づくためにも、手術や抗がん治療を受けるときも血糖値が鍵となるので、日々血糖値をチェックし、血糖コントロールを徹底することが大切です。

この記事に含まれるキーワード

食事(227) 糖尿病(266) 癌(41) 血糖値(76) 手術(138) 脂肪肝(21) 関係(7)