記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供の糖尿病においては、食事制限やおやつの制限、運動の制限などはあるのでしょうか。こちらの記事では、子供が糖尿病を発症した際の食事や、学校生活で気を付けること、対処法について解説します。
小児の糖尿病では、極端な制限が必要になるケースは多くありませんが、食事に関してある程度の注意は必要です。子供が糖尿病を発症した場合、1型と2型で対応が異なります。
過度に食事制限が課されることはほとんどありません。大切なのは成長や発育に必要な栄養素・エネルギーを摂取することです。ただし、摂取する量や、インスリンのバランスには注意する必要があります。医師と相談しながらカーボカウント(食物に含まれる炭水化物の量を数値化し、この数値をもとに炭水化物の摂取量と血糖値をコントロールする方法)を行うこともあるでしょう。
基本的には1型の場合と同様に極度な食事制限を行う必要はなく、その年齢の成長に沿った栄養の摂取を意識します。しかし、肥満や、肝機能障害などの合併症が認められる場合には食事制限が必要になるでしょう。カロリーを摂り過ぎない、だらだら食べないといったことを心がけ、食事内容や食べ物については医師の指導に従うことが大切です。
糖尿病を発症すると、子供であってもおやつが食べられなくなると考えられていることが多いものです。しかし、大人の糖尿病とは異なり、子供の場合は過度におやつを制限する必要はないと考えられています。特にまだ年端もいかない子供の心の健康においてはおやつの比重が大きいため、過度に制限するとストレスがかかり、親や医師に隠れておやつを食べるといった事態を招きかねません。
そのため、子供自身にも食事の摂り方を学ばせながら、おやつを制限し過ぎないようにすることが大切です。糖尿病の子供におやつを与える際は、医師と相談しつつ、以下のようなことに注意しましょう。
おやつの量を考慮し、運動やインスリンを取り入れることで血糖値のコントロールをはかります。
カロリーが高すぎたり、糖分が多過ぎたりしないかどうか、おやつの内容にも気を配りましょう。特別なイベント時には食べたいものを食べさせるなど、子供の気持ちに沿ってみることも時には必要かもしれません。
通常の食事と同様に、食べ方にも気を付けましょう。
子供の糖尿病を悪化させないためには、子供自身にも糖尿病のことを理解させ、普段から自分で対処できるように促すことが重要です。
学校などでのインスリンの注射が自分でできるよう、子供に注射のやり方を教えましょう。併せてインスリン注射の置き場所や、行う場所、注射の持ち帰り方なども確認します。
糖分を補給する、先生に伝えるなど、低血糖になった際に慌てずに済むよう、どのような対応をすべきか伝えておきます。
体育や、休み時間の外遊びなど、運動をした後は低血糖になりやすいため、自分で捕食ができるようにしておきましょう。
乳幼児期から児童期、思春期にかけての血糖値のコントロールは難しいものですが、子供自身に知識や対処法を身に付けさせておくことは、成長後の糖尿病の悪化を防ぐことに繋がります。
日本糖尿病協会は、1型糖尿病の小中学生・高校生を対象とした「糖尿病サマーキャンプ」を開催しています。自己管理の方法を学ぶためにこうした場に参加してみても良いでしょう。
糖尿病になると、学校で勉強を続けたり、体育の授業を受けたり、クラブ活動に参加したりすることができなくなると思われがちです。しかし、糖尿病にかかっていることで勉強やスポーツ、クラブ活動ができなくなることはありません。以下のような点に注意すれば、通常の学校生活を送ることは可能です。
糖尿病の子供が学校で集団生活を送るためには、担任の先生だけでなく、子供に関わる全ての先生やクラスメイトの理解と協力が必要です。特に低学年の子供はまだ病気のことを理解するのは難しく、低血糖時のための捕食や注射について疑問を持つこともあるかもしれませんが、保護者が先生と協力しながら根気良く説明してください。周囲に糖尿病のことを理解してもらうことができれば、具合が悪くなった時のサポートもお願いできるでしょう。
子供が糖尿病になると、食事制限がある、おやつが食べられなくなる、学校に行けなくなる、運動ができなくなると悲観視されることが多いものです。しかし、インスリン注射や捕食など子供自身が自己管理の方法を覚えれば、問題なく集団生活を送ることができるでしょう。