記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/3 記事改定日: 2020/1/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
最近では1歳を過ぎても母乳を無理に止めさせる必要はないという考えも主流となってきました。しかし、仕事の関係や様々な理由で母乳を卒業させたいという方もいるかもしれません。
そこで今回は、断乳時に欠かせない適切なケアや乳腺炎を予防する方法などをご紹介します。「断乳はまだ少し先かな…」という方も授乳中から予防法を考えておくと、断乳後もお母さんと赤ちゃんで快適に過ごすことができますよ。
断乳後は乳腺炎になりやすいため、授乳開始後から一度も乳腺炎になったことがない方も注意しなければならない時期です。
乳腺炎になりやすくなる原因は、断乳したとしてもすぐに母乳の分泌が止まるわけではなく、赤ちゃんに吸い出されずに乳腺内に母乳が残った状態となるためです。
赤ちゃんが母乳を吸わなくなると徐々に母乳の産生量は減っていきますが、断乳した直後は母乳の産生量は断乳前とほとんど変わりませんので特に注意しなければなりません。
断乳開始から3日間は、とくに胸に痛みが出やすいといわれています。
胸の張りが辛く感じたら、圧抜き程度に軽く搾って対処しましょう。その後、タオルや氷などで乳房を冷やしてください。そして、4日目にしっかり搾乳して母乳を出しましょう。
通常、3日間ほど搾乳や授乳を止めて母乳を搾らない状態が続けば、脳が「母乳を作らなくていい」と判断するため、急激に母乳の分泌量が減っていくといわれています。
それ以降は1週間後、2週間後と残りの母乳をすべて出し切ります。断乳後1ヶ月間はマッサージを行い、乳房のトラブルを防ぐようにするといいでしょう。
また、甘いものや油っこいものなど、詰まりの原因となる食べ物を控え、疲れやストレスをできるだけ溜めないようにすることもポイントです。
乳房全体を両手で包みこみ、乳房の根元から乳首の方へ徐々に圧力をかけて搾乳していきます。このとき、乳頭を刺激しないようにしましょう。乳頭を刺激すると、母乳の分泌を促してしまいます。
また、セージやペパーミントなどのハーブティーは母乳量を抑えてくれる効果があるといわれています。ただし、ホットで飲むと巡りがよくなってしまうため、常温以下に冷ましてから飲むように心がけましょう。
セルフケアの方法をご紹介しましたが、ご自身で行う際に不安がある方は母乳外来へ行くのも選択肢のひとつです。助産師などプロのマッサージで、残りの母乳をしっかり出し切ることができます。
断乳後の乳腺炎は、乳腺が詰まって起きる急性うっ滞性乳腺炎といわれています。主な症状には、以下のようなものがあります。
乳腺炎が悪化した場合、入院が必要となることもあります。
そういった意味でも、断乳後はしっかりとケアをして乳腺炎を防ぐように心がけてください。
断乳を考えているお母さんにとって、乳腺炎などのトラブルはできるだけ避けたいものですよね。赤ちゃんのケアで手一杯になるかもしれませんが、お母さん自身の体も大切にして乳腺炎を予防しましょう。
そのためにも、正しい方法でしっかりとケアをすることが大切です。そしてもし心配であれば、母乳外来などを受診するのもいいかもしれません。スムーズに断乳できるよう、この記事の内容を参考にしてみてください。