記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/1
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期に眠気を感じる人は多いといわれています。眠気覚ましにコーヒーなどのカフェイン飲料を飲む人もいると思いますが、妊娠初期に飲んでも問題ないのでしょうか。
この記事では、妊娠初期の眠気対策とカフェインの影響について説明しています。
妊娠をすると眠気を感じるという妊婦さんは多いものです。妊娠初期には眠気を強く感じていても、一般的には胎盤が完成していく妊娠12〜16週頃には眠気は落ち着いていく人が多いといわれています。しかし、眠気については個人差が大きく出産までずっと眠かったという人もいます。
多くの妊婦さんが感じる強い眠気は、どのように対応していったら良いのでしょうか。
妊娠中の眠気は、赤ちゃんが育つための環境を整えようと体内のホルモンバランスが変化していることが一番の要因です。そのため、なかなかスッキリと解消することは難しいでしょう。無理に起きようとしても、ちょっとしたミスや事故につながることもないとは言えません。短時間でも仮眠をとるほうが良いでしょう。
夜間の睡眠不足が重なって、日中の眠気が強いという人もいるでしょう。できるだけ夜の睡眠の質を高めるための工夫も大切です。現代はスマートフォンやパソコンを寝る直前まで使っている人も少なくはありません。しかし、ディスプレイから発せられる光が睡眠の質を低下してしまうともいわれています。寝る直前までの使用はやめて、温かい飲み物を飲むなどリラックスタイムを設けてみてはどうでしょうか。
仕事や日常生活の中で車を使うという人もいるかもしれません。しかし妊娠初期の眠気は、目を覚まそうと思ってもコントロールができないこともあります。車の運転は、的確な判断を必要とします。大きな事故に繋がることもありますから、できれば避けることが良いでしょう。
眠気を覚ますためにはコーヒーが欠かせないという人もいるでしょう。カフェインの入った飲み物を全く飲んではいけないわけではありませんが、控えめにしていくことをおすすめします。
英国食品基準庁(FSA)では、妊婦の1日あたりのカフェイン摂取量を200mg程度に制限することを求めています。目安としてはコーヒーは1〜2杯、紅茶2〜3杯程度です。
最近では「デカフェ」「カフェインレス」と表記されたカフェインを減らしたり、カフェインが含まれていない飲み物も手に入りやすくなっていますから、スーパーやドラッグストア、輸入雑貨店などをチェックしてみましょう。
【厚生労働省ホームページを編集して作成】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
妊娠にともなって一時的に起こる吐き気や食欲不振などの症状をつわりと言いますが、つわりにもさまざまな症状があります。医学的な用語ではありませんが、妊娠初期の眠気を「眠りつわり」ということもあります。
妊娠をすると女性の身体はホルモンバランスの変化を起こします。なかでも、眠気に関係しているホルモンはプロゲステロンです。プロゲステンは黄体ホルモンとも呼ばれ、月経サイクルにも関与しています。排卵が起こった後に分泌され、体温を高めに保って妊娠を助ける役割を持っています。妊娠しなければ徐々に減少して月経が起こりますが、妊娠をすると分泌量が増加し妊娠8ヶ月くらいまでは増加し続けるといわれます。妊娠を維持するためには必要なホルモンですが、一方で眠気や便秘、イライラなどの症状を引き起こすことがあります。
プロゲステロンは通常の月経サイクルの中でも分泌されています。そのため生理の前にはプロゲステロンの影響で眠気を感じてもおかしくはありません。その他にも生理が近づくとみられる便秘や胸の張りなどもプロゲステロンが原因となります。同じホルモンの影響を受けているため、妊娠初期の眠気と生理前の眠気の違いについては、はっきりと区別することはできないとされます。
しかし、実際に妊娠をした人たちの中には、生理前の状態と妊娠初期の状態については違いがあったという人もいます。日頃から自分の月経サイクルや身体の状態について興味をもって把握しておくと、妊娠の兆候に気づきやすいかもしれません。
妊娠すると女性の身体は大きく変化をし、女性ホルモンの影響から眠気を感じています。無理に眠気をなくそうとしてもコントロールが効かないこともありますから、休めるときには休み、夜間の睡眠の質を高める工夫も大切になります。カフェインの含まれたコーヒーや紅茶を飲むことも控えめにしていきましょう。