子宮外妊娠の手術に入院は必要? 手術後に妊娠できる?

2018/6/4

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

子宮外妊娠では手術が必要になるケースがありますが、この手術では入院の必要はあるのでしょうか?また、手術後に再度妊娠することはできるのでしょうか?以降で解説していきます。

子宮外妊娠の手術の種類について

子宮外妊娠の手術は、以下の場合に行われます。

①着床部位が破裂、もしくは持続的に出血している場合

②出血によりショック状態(血圧低下や脈拍増加が起こり、臓器血流が悪化する)の場合

③妊娠組織が大きく成長し、薬物や待機療法が失敗する可能性が高いと考えられる時

ただし、最終的には医師の判断からその他の治療より手術を勧められる場合もあります。きちんと説明を受けた上で自分の納得する治療法を選びましょう。子宮外妊娠の手術は次の3種類がありますが、日本では基本的に卵管切除術が行われます。

卵管切除術(病巣切除術)

着床部位を切除する手術です。卵管であれば病変のある側の卵管切除、卵巣なら卵巣部分切除など、病変部位を切除します。現在ではほとんどの施設で腹腔鏡手術が行われ、開腹手術はごく稀です。手術では胎嚢を卵管ごと取り除きます。そのため、片方の卵管は失われます。しかし、もう一つの卵管は残るため、手術後に妊娠する可能性も残されています。

卵管圧出術

主に胎嚢(たいのう)と呼ばれる赤ちゃんを包む袋がまだ小さく、出血が見られない場合に行われる手術です。腹腔鏡手術で行うことができ、卵管を温存できる治療ですが、一度子宮外妊娠を起こした卵管は治療後にも子宮外妊娠を起こす可能性が高いことが知られており、日本で積極的に行っている施設は多くありません。

卵管線状切開術

卵管圧出術では取り除くことが難しい大きさであり、出血はまだ見られていない場合に行われる手術です。
腹腔鏡下に行うことができ、卵管を切り開いて胎嚢と血の塊を水圧や吸引によって取り除きます。卵管を残すことはできるものの、手術後に卵管が癒着することがあります。また、卵管圧出術と同様、次回の妊娠でも子宮外妊娠になる可能性もあります。

 

子宮外妊娠の手術に入院は必要?

子宮外妊娠の日帰り手術は、基本的に行うことができません。なぜなら、手術後は体内に溜まった血液などを排出するための管を、しばらく付けておかなければならないからです。入院期間は病院や術後の状態によって違うものの、最低でも3~4日は入院する必要があります。また、開腹手術の場合は、入院期間はもっと長くなります。最低でも10日は見ておきましょう。
なお、日帰りの手術が行えるのは、流産で亡くなった胎児や胎盤を掻き出す「掻爬(そうは)法」を行う場合のみです。

子宮外妊娠の手術後の妊娠は可能?

子宮外妊娠の手術をすると、自然妊娠しにくくなるかもと不安に思う人も多いでしょう。今のところ、子宮外妊娠の手術後に自然妊娠しにくくなったという研究結果は出ていません。また、手術で卵管を切除した場合でも、もう一方の卵管が残っていれば、自然妊娠はできます。卵管が二つあった場合との妊娠確率にも差がほとんどないことが研究によりわかっていますので、安心してください。

ただし、手術によって卵管が閉塞してしまったり、うまく機能しなくなるケースもあります。そういった場合には、妊娠しにくくなってしまうので、医師に相談し今後のことを検討すると良いでしょう。

子宮外妊娠の手術費用はどれくらい?

子宮外妊娠の手術費用は、健康保険が適用されます。そのため、費用の自己負担額は3割で済ませることができます。また、一般的に入院や手術の費用は高額となることが多いため、高額療養費制度を利用することもできるでしょう。
この高額療養費制度とは、病院や薬局の窓口で支払った額が決められたひと月の上限額を超えた場合、超えた部分の金額を支給してくれる制度です。入院時に手続きをし「限度額適用認定証」を発行してもらえば、上限額を超える額を支払う必要もありません。
ただし、医療機関によって手術費用は違うため、正確な費用については必ず手術を行う医療機関で事前に確認するようにしてください。

おわりに:子宮外妊娠の手術後でも妊娠は可能

子宮外妊娠と診断されると、次の妊娠はできないかもと不安に思うこともあるでしょう。しかし、子宮外妊娠をしたからといって、二度と妊娠ができなくなるということではありません。まずは治療に専念し、体を休めてください。そして、心身ともに健康な状態になってから、また赤ちゃんを迎える準備をしましょう。

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