ヘルペスとは?どんな種類があって、何が原因で発症するの?

2018/5/21 記事改定日: 2019/2/18
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「唇のあたりがムズムズする…」「体に帯状の発疹が出てきた」などの症状が見られる場合は、ヘルペスを発症している可能性があります。しかし、ヘルペスウイルスには多くの種類があり、それぞれの症状により感染経路は異なります。
今回はヘルペスの種類や発症の原因、帯状疱疹との違いについて解説していきます。

ヘルペスとは?

ヘルペスはヘルペスウイルスが原因で起こる病気で、口唇ヘルペスの場合は感染すると唇の周りに水ぶくれができます。風邪をひいているときや、発熱しているときなど、免疫機能が低下しているときに発症しやすい傾向にあり、免疫機能の低下で再発を繰り返してしまうのも特徴の疾患です。

口唇ヘルペスの感染後の流れ

①初感染

子供のころにヘルペスウイルスに感染し、気づかないまま潜伏しているケースも多くあります。大人になってから初感染すると、症状が重症化することが多く、また、再発を繰り返しやすいとされています。

②潜伏感染

ヘルペスウイルスは一度感染すると、三叉神経節というところに住み着き、潜伏します(潜伏感染)。そして、免疫力が低下するとウイルスが暴れ出して再発します。

③再発

潜伏感染しているウイルスが、再び暴れ出すことを再発といいます。

口唇ヘルペスの原因

口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に感染すると発症します。しかし、初感染時には特に症状が起きない場合もあり、三叉神経節に潜伏していたヘルペスウイルスが、何かしらの刺激をきっかけに活性化しだすと、再発する恐れがあります。

再活性化のリスク要因

ヘルペスウイルスが再活性化するきっかけとしては、以下のものがあります。

  • 発熱
  • 免疫力の低下
  • 過度のストレスや疲労
  • 紫外線
  • 性行為
  • 歯科治療
  • レーザー脱毛
  • 胃腸障害

口唇ヘルペスと帯状疱疹の違いは?

帯状疱疹と口唇ヘルペスは、ともにヘルペスウイルスの仲間が引き起こしますが、感染後の経過に違いがあります。

帯状疱疹

ウイルスの種類
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
症状
胸や背中、顔面、頭部などに、痛み・水ぶくれなどが発生する
感染力
基本的に帯状疱疹はうつりにくいが、水疱瘡に抗体が無い人には感染する可能性がある
後遺症
帯状疱疹後は神経痛になることがある
再発度
帯状疱疹自体は再発する可能性は低い。しかし近年、再発する症例が増えてきている

口唇ヘルペス

ウイルスの種類
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、2型(HSV-2)
症状
唇や顔面、性器などに水疱が発症する。症状は軽いことが多い(再発の場合)
感染力
感染力が強い
後遺症
ほとんど無い
再発度
一度感染すると再発する可能性が高い

ヘルペスは唇以外にもできるの?!

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス2型に感染することで発症し、一度感染すると何度でも再発します。主に感染者との性行為によって感染することが多く、以下のような症状が見られます。

  • かゆみやヒリヒリとした痛み
  • 水ぶくれ
  • 赤いブツブツ
  • 太もものリンパ節の腫れ
  • 排尿時の痛み(女性のみ)

目のヘルペス

単純ヘルペス1型による目の病気で最も多いのは、角膜の感染症です。再発する可能性が高く、ごく稀に失明することがあります。また単純ヘルペスウイルス1型のうち、感染したウイルスの種類によって感染の期間、重症度、薬の効き具合などが異なります。

ヘルペスウイルスが角膜に感染すると、目が赤くなる、軽い痛みを感じる、光に過敏になるといった症状が現れますが、一般的にはそれ以上にひどくはなりません。しかし、およそ4人に1人の割合で2年以内に再発することがあるので注意が必要です。

また、角膜のさらに深い部分に感染が及んでしまった場合、角膜が白く濁ったり、目の中に炎症が生じたりすることがあり、慢性の潰瘍が生じると、たいへん治りにくくなってしまいます。

ヘルペスはどうやってうつるの?

キスなどの直接接触

口唇ヘルペスは、皮膚や粘膜が直接ふれ合うことにより感染する病気で、特に口周りなどの皮膚が荒れている状態だと、感染率が高くなってしまいます。キスによる感染が多いのは、口の周りにある皮膚の角層が薄いためです。

タオルやグラスの共有

ヘルペスウイルスは感染力の強いウイルスなので、間接的な接触にも注意が必要です。感染者が使用したタオルやグラスを使いまわすことでウイルスに感染してしまうこともあります。感染を防ぐには、身の回りの日用品の衛生管理や、その使い方にも気を配りましょう。

症状が出ている人との接触

ウイルスが発症している場合、感染者との直接的な触れ合いや、同じグラスの使い回しなどは避けるようにしましょう。完全に症状が回復するまでは様子を見る必要があります。

口唇ヘルペスや性器ヘルペスの再発を予防するには?

口唇ヘルペスや性器ヘルペスは一度感染すると、症状が軽快しても体内にウイルスが潜んでいる状態となり、何らかのきっかけでウイルスが活性化すると再発することがあります。
再発を予防するには以下のような対策が有用です。

  • 疲れを溜めず、睡眠や休息時間をしっかり確保する
  • ストレスを溜めない
  • 手洗いや手指消毒、マスクの着用などで風邪を予防する
  • 口唇や外陰部などのピリピリ感など再発の前兆症状がある場合は抗ヘルペス薬を内服する
  • 再発の前兆症状がある場合は、性行為などを控えるようにする

おわりに:ヘルペスの種類に関わらず医療機関を受診しましょう

帯状疱疹もヘルペスも初めて発症したら、すぐに病院へ行くことが必要になります。特に帯状疱疹の場合は、発症してからの対処が遅れると『帯状疱疹後神経痛』を発症することがあり危険です。また、ヘルペスの場合は後遺症が残ることはほとんどありませんが、再発を繰り返す病気なので一刻も早く抗ウイルス薬で対処をすることで、症状を最小限に抑えることができます。医療機関を受診して処方薬をもらいましょう。

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