記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/4
記事監修医師
前田 裕斗 先生
突然の不正出血、女性の方は一度は経験したことがあるかもしれません。 不正出血には生理のときと同様に、腰痛を伴う場合があります。 では、突然腹痛を伴う不正出血が見られた場合は、何科を受診すればいいのでしょうか。原因や対処法と併せて解説していきます。
出血のしかたや量も人によりさまざまなので、病気かどうかなどの自己判断はできません。ただ、少しでも不正出血があったときにはすぐに婦人科の診察を受けましょう。
また、受診時は基礎体温表が診断の大きな手がかりとなるので、普段から生理不順が多く不正出血との区別がつきにくいという人は、基礎体温表をつけましょう。
妊娠中に腹痛や不正出血が見られると、「流産の兆候なのかな…?」と不安になってしまうかもしれませんが、妊娠中はホルモンバランスが急激に変わったり、子宮が大きくなったりと、体の中で様々な変化が起こるので、特に異常がなくても腹痛を感じることがあります。特に妊娠初期は体の変化に敏感になりやすいので、慣れるまではちょっとした痛みでも感じやすい可能性があります。
妊娠初期の腹痛では、一般的にチクチクした痛みを感じる場合が多いですが、お腹全体が引っ張られたり、キュッと絞られるような痛みを感じるという人もいます。このように痛みの感じ方には個人差がありますが、妊娠に伴う生理的な現象であれば、我慢できないほどの痛みではありません。
こうしたチクチクした痛みが現れるのには、主に以下の3つの原因が考えられます。
妊娠前の子宮は鶏卵ほどの大きさですが、妊娠後は胎盤や胎児が成長していくにつれ徐々に大きくなっていきます。妊娠2ヶ月頃には元の大きさの1.5倍ほどになり、妊娠3ヶ月頃には握りこぶしほどの大まで成長します。
子宮は筋肉でできているので、子宮が大きく伸びていく過程でチクチクとした痛みを引き起こすこともあります。
子宮が引き伸ばされる痛みとは別に、子宮周辺の臓器や靭帯が引っ張られることでも痛みを感じる場合があります。
これは子宮そのものではなく、子宮の周りに現れる痛みなので、「お腹全体が張るような痛み」や「生理痛のような痛み」と表現されることもあります。
妊娠によって子宮が大きくなると腸が圧迫されます。また、妊娠中は「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量が増えることにより、胃腸の筋肉がゆるみ、動きが鈍くなります。特に妊娠初期は胃腸の働きが低下するために、食べ物がなかなか消化されなかったり、便秘になりやすくなります。この便秘でお腹が張ったことにより、お腹にチクチクとした痛みを感じることがあります。
妊娠初期の腹痛は、少しチクチクする程度であれば問題はなく、安定期に入る頃には痛みが治まってくることが多いので、心配しすぎないようにしましょう。腹痛を感じたときには、横になったり座ったりして体を休めてください。
なお、腹痛の原因が便秘であるときは、便秘を解消することで痛みが治まる可能性があるので、食物繊維や水分を多く摂るようにしましょう。乳酸菌も腸の動きを活発にしてくれるのでおすすめです。
また、お腹周りの血行が悪いと痛みが強くなることがあるので、お風呂に入るときは湯船に浸かって体を温める、寝るときに腹巻をつける、冷たい飲み物を控えるなど日頃から冷えを予防することで腹痛を改善できる可能性があります。
不正出血にはさまざまな原因があるので、「生理だと思ったら子宮外妊娠だった」「妊娠だと思ったら違う病気だった」ということも十分にあり得ます。また、他の重大な病気が隠れていることもありますので注意が必要です。不正出血はいうなれば身体からの重要なサインですので、強い腹痛が続いたり、不正出血が見られたりする場合は、我慢せず婦人科の医師に診てもらいましょう。