予防接種の医療費控除について知ろう!

2018/5/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「これは医療費控除になるの?ならないの?」と疑問に思ったことがある方は少なくないでしょう。医療費控除はすべての医療費が対象ではなく、対象になるものとならない医療費があります。以降では、どのような予防接種が医療費控除の対象なのかなどについて解説していきます。

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インフルエンザの予防接種は医療費控除の対象?

医療費控除とは

医療費控除とは、「1年間(1月1日~12月31日)に、生計を同じとする一家族(※)が支払った医療費の合計が、10万円を超えた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度」です。実際に医療機関からお金が返金されるわけではありませんが、「1年間に支払った医療費−(健康保険などで補填される金額+10万円)」を国税庁から所得控除として受け取れます。また、総所得(税金や年金を除く)が200万円未満の人は、医療費が10万円に満たない場合や、医療費が総所得額の5%を上回った場合には、医療費控除を申請することができます。

※同一生計とは必ずしも同居している必要はなく、たとえば遠くに住んでいる親に仕送りをして扶養している場合も当てはまります。

インフルエンザ予防接種代は医療費控除の対象にならない

医療費控除の対象となる医療費は、治療や療養のための医薬品の購入が対象とされており、インフルエンザワクチンなどの病気の予防のためのものは対象外となります。

ただし、インフルエンザの予防接種代は、健保組合によって補助金を出しているところもあるので、ご自身の加入している健保組合で確認してみましょう。

任意の予防接種でも医療費控除の対象となる場合がある

医師の判断により、インフルエンザの予防接種が医療費控除の対象となる場合があります。例えば、「もともと疾患を持っており抵抗力が低下しているため、インフルエンザにかかりやすい場合」や、「インフルエンザにかかってしまうと持病が悪化して身体に悪影響を及ぼす場合がある」などです。つまり、インフルエンザに感染することがリスクとなると医師が必要と判断した場合は、医療費控除の対象となるのです。

また、赤ちゃんの健康状態などによって、医師から予防接種を薦められる場合もあります。例えば、B型肝炎ワクチンは平成28年10月以降に定期接種化されましたが、それ以前に医師の薦めで受けた場合は、医療費控除の対象になる可能性があります。

肺炎球菌の予防接種は医療費控除の対象?

定期接種

定期接種とは、「予防接種法」という法律に基づいて自治体(市町村及び特別区)が実施する予防接種のことです。定期接種の開始時期や助成の有無、助成内容、助成の時期については、住んでいる自治体によって異なる場合があります。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンは、医療費控除の適用対象外です。ただし、平成26年10月以降は、65歳以上の肺炎球菌の予防接種は、市区町村の助成が受けれるようになり、一部負担または全額無料となりました。接種対象となる年度(年齢)と期間が決められていますので、確認の上で接種をしましょう。

ロタウイルスやおたふく風邪の予防接種は医療費控除の対象になる?

インフルエンザに限らず、予防接種代は原則として医療費控除の対象外となっています。0歳児のうちに任意で接種することが多いロタウイルスワクチンやおたふく風邪、水痘の予防接種代についても同様です。

医療費控除の対象になるものは?

医療費控除の対象になるものは以下の通りです(健康保険などで補てんされた金額は差し引いて考えます)。

  • 妊婦健診の費用
  • 分娩費・入院費
  • 診察代・治療費
  • 治療に必要な薬代
  • 出産時などのタクシー代(緊急の場合のみ)
  • 公共交通機関を使った通院費 など

※ロタウイルスワクチンは、2020年10月1日から定期接種となります。
▼ 厚生労働省 ロタウイルスワクチンQ&A(2020年8月出生の方についての注意事項)

医療費控除の対象にならないものは?

医療費控除の対象にならないものは以下の通りです。いずれも治療目的ではないので控除対象外となります。

  • 妊娠検査薬
  • 出産準備のために購入したパジャマなど身の回りの品
  • 自ら希望した場合の差額ベッド代
  • 里帰り出産の際の帰省費用
  • 赤ちゃんのおむつやミルク代 など

おわりに: 医療費控除の対象範囲や手続き方法を事前に調べておこう

妊娠・出産をした女性は、医療費をたくさん負担することが多いでしょう。予防接種当日に慌てないためにも、医療費控除の対象範囲や手続き方法を事前に把握して、スムーズに申告できるようにしておくことが大切です。

また、年収によっては年間の医療費が10万円以下でも医療費控除を受けられる可能性がありますので、医療費の領収書はなくさずに保管しておきましょう。手が空いたときに計算してみることをおすすめします。

【厚生労働省 国税庁の情報をもとに編集して作成 】
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000176205.pdf

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