記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ノロウイルスに感染したとき、学校や仕事はいつまで休めばいいのだろうと悩むこともあるのではないでしょうか。ノロウイルスの完治までの期間や、仕事に復帰するまでの日数の数え方について解説していきます。
感染から完治までには、潜伏期間や症状が続く期間を経て、ウイルスが排出されます。
感染後の潜伏期間は数時間~数日間(平均1~2日)とされています。
吐き気、嘔吐、下痢などの症状は、10数時間~数日間(平均1~2日)持続するとされています。
ノロウイルスは、嘔吐や下痢の症状が治まっても、1週間~1ヶ月にわたりウイルスが便中に排出され続けるとされています。そのため、症状が治まってからも1ヶ月程度は二次感染に留意して消毒などを徹底する必要があります。
一般的にノロウイルスは1週間~10日ほどで完治することが多いとされていますが、免疫力・抵抗力があまりない幼児や高齢者の場合は、2週間以上症状が続く可能性があります。
ノロウイルスの感染力は、以下のように変化するといわれています。
潜伏期ではまだ症状が表に出ていないので、感染確率が一番低いとされています。
症状が顕著に出ている発症時が一番感染確率が高くなるとされています。
回復期ではまだ症状が残っているため、発症時の次に感染確率が高いとされています。症状が治まったからといって二次感染の危険がないわけではないので、十分に注意しましょう。
以上のように、ウイルスが体内にある間は二次感染する恐れがあります。症状が回復してきたとしても、感染力はまだ高いのが特徴です。
回復のためにも、周囲の人と接触しないようにするためにも、自宅で安静にしてすごしましょう。また、体内にあるウイルスを早く外に出すために乳酸菌を摂取する方法がありますが、下痢の症状が強い場合には脱水症状を起こさないための十分な対策が必要になります。
学校と会社での、ノロウイルス感染後の対応はどうするのが望ましいのでしょう。
感染者が出勤のタイミングを決めるときに、学校保健安全法(感染者に関する出勤停止の決まり)を参考にすることがあるかもしれませんが、ノロウイルスはこの学校安全法の中の学校感染症に指定されていません。
そのため厳密には、法律上出勤停止期間はないとされています。しかし、症状がある時に会社や学校に行くと周囲の人に感染させてしまう恐れがあるので、「出勤自粛」「登校自粛」という形が推奨されているのです。
出勤・登校が可能だとされる最低限のラインは「少なくとも嘔吐が消失するまで」です。しかし、症状が治まってきてもしばらくは便中のノロウイルス排出が続くので、できれば完治してからの出勤が望ましいです。
いずれの場合も、トイレ後の手洗い・うがい・消毒はきちんと行う必要があります。また、下痢止め薬は回復を妨げてしまう可能性があるので、なるべく使用は控えましょう。
飲食店やブライダル関係などの仕事では、従業員からの二次感染が深刻な影響を与える恐れがあるので、厳重な感染予防の決まり事がある場合があります。職場によっては感染症に対する対応マニュアルが用意されている所もあるでしょう。その場合、検便での陰性確認や1ヶ月以上の出勤自粛が求められることがあります。
自分が勤める会社や業界のルールを確認し、適切な対応をとるようにしましょう。
ノロウイルスになったとき、勤め先に診断書の提出する義務はあるのでしょうか。ここからは、ノロウイルスになったときの診断書や証明書について説明していきます。
企業によっては出勤する際に、ノロウイルスが完治したことを証明する診断書の提出を求められる場合がありますが、そもそも診断書の提出は強制ではありません。特に有給休暇をもらっている場合には、その理由の提示は必要ないとされています。
ノロウイルスの診断をするために、検査キットが使用される場合がありますが、これは100%感染の有無が判断できるものではないため、医師が必要としたときのみ使用されます。診断書を書いてもらう際には、事前に医療機関に相談して確認を取りましょう。
医師に証明書を書いてもらう場合には、「ノロウイルスに感染していること」「自覚症状がなくなるまでは自宅療養が必要なこと」を明記してもらいましょう。
ノロウイルスの検査に保険が適用されるのは、3歳以下または65歳以上の人のみとされています。それ以外の人は保健適用外になる可能性があります。また、診断書を発行する際には2~3千円の費用(病院によって異なる)が必要となります。以上をふまえながら、診断書の発行するかどうかを判断しましょう。
職場、学校、家庭内など周囲にノロウイルスを広めないためには、適切な感染対策を行う必要があります。特に、ノロウイルスは少ないウイルス量で周囲の人に感染させてしまうため次のようなことに注意しましょう。
一般的なノロウイルスの完治までにかかる期間は、1週間~10日間ほどですが、出勤・登校する最低限の目安として「嘔吐の症状がなくなってから」とされています。しかし、症状が治まってもまだ便中にウイルスが排出されているので、周囲へ感染を広めてしまう恐れがあります。
そのため、出来れば完治してからの出勤が望ましいです。職場や学校への復帰は自分の症状や医師と相談して決めるようにしましょう。