記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ノロウイルスは、激しい嘔吐や下痢などの消化器症状を発症させる、非常に感染力の強いウイルス性の感染症です。今回は、ノロウイルス感染拡大防止のために知っておきたい、ノロウイルスが付着した服などの洗濯方法をご紹介していきます。
ノロウイルス感染者の嘔吐物や糞便がついた服を洗濯する場合は、まずは水で嘔吐物や便を洗い流す「予洗い」を行ってください。
嘔吐物や便のなかにはたんぱく質が含まれていることがあるのですが、このたんぱく質は50℃以上の温度で固まる性質があります。いきなり熱湯で洗濯すると、嘔吐物・便に含まれるたんぱく質が固まって落ちにくくなる可能性があるため、まずは水でだいたいの汚れを洗い流すことが推奨されているのです。
予洗いは、使い捨てのマスクと手袋を着用したうえで行います。お風呂場や流し台の排水溝付近で水道水を使って洗い流すか、水を張ったバケツなどに汚れた服を入れ、前後に揺さぶって振り洗いすると良いでしょう。
なお、時間が経つと嘔吐物・便は固まってしまうため、汚れた衣服の予洗いはできるだけ早く行ってください。
予洗いをして、水で嘔吐物・便を予洗いで洗い流したら、次は、洗濯機に入れる前に服の消毒作業を行います。
消毒の方法としては、以下の2通りがあります。
この消毒作業を行わずに、他の服と一緒に洗濯機で洗濯してしまうと、他の服や洗濯槽にもウイルスが付着して感染源となりますので、注意が必要です。
消毒作業をし、普通の洗濯物と同じように洗濯機での洗濯までが終わったら、雑菌や残ったウイルの繁殖を防ぐため、しっかりと乾燥させましょう。天気が良い日なら天日干しにし、雨や高温多湿のときは風通しの良い室内に干すか、早く確実に乾かせる乾燥機を使うのがおすすめです。
ノロウイルスの消毒の際に使用される塩素系消毒液「次亜塩素酸ナトリウム」は、除菌とともに漂白作用のある薬品です。このため、ノロウイルス感染予防のために色物の服まで次亜塩素酸ナトリウムに漬けて消毒してしまうと、色落ちして着られなくなってしまう可能性があります。
色物の服に嘔吐物や便が付着し、ノロウイルスを消毒する必要の出てきたときは、次亜塩素酸ナトリウムではなく、85℃以上のお湯に漬け込む消毒方法を用いると良いでしょう。
85℃以上のお湯を使ってノロウイルスを消毒する具体的な方法としては、以下の3つがあります。服の大きさや家庭の都合によって、いずれかを選んでください。
いずれも、お湯の温度が85℃を下回ってしまうと消毒効果がなくなりますので、途中でお湯を継ぎ足すなどして、温度を保てるよう注意してください。
ノロウイルスは、非常に感染力の強いウイルスです。ウイルスは感染者の嘔吐物や便に紛れて拡大していくため、嘔吐物・便が付着した服をそのまま洗濯機で洗うと、感染拡大の重大な原因となります。ノロウイルスが付着した服はまず水で予洗いし、その後85℃以上のお湯または次亜塩素酸ナトリウムで消毒してから洗濯し、しっかりと乾燥させる必要があることを覚えておいてくださいね。