不眠症、薬以外の治療法はないの?

2018/6/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

不眠症の治療というと、睡眠導入剤での治療を思い浮かべる方が多いです。しかし不眠症の患者の多くは眠れないことへの不安を抱えており、また生活状態も乱れがちなことから、心理面や生活面での治療アプローチが有効とされています。今回の記事では、そんな薬以外での不眠症の治療法をご紹介していきます。

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不眠症の薬以外の治療法:①睡眠衛生教育

睡眠衛生教育とは、良質な睡眠につながる生活習慣についての知識を、患者が身につけていくための指導です。生活の中での不眠の原因を把握・改善し、生活リズムを整えながら、睡眠環境を改善させていきます。

不眠症を解消するために、知っておきたい生活面でのポイントは以下の通りです。

  • アルコールやカフェインの摂取を控える:寝酒は一時的に寝つきを良くしますが、夜中に目を覚めやすくし、睡眠の質も低下します
  • 禁煙する:ニコチンには精神を刺激する作用があります
  • 毎日規則正しい時間に就寝・起床する
  • 昼寝は短時間に抑える
  • 寝る前にPCやスマートフォンの操作をしない
  • 朝食をきちんと摂り、夜食を控える
  • 毎日の運動習慣をつける:適度な有酸素運動で、睡眠の質が向上します
  • ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
  • 寝室の環境を整える:湿度や温度調整、吸汗性に優れた寝具を使うなど
  • 眠気を感じてから布団に入る:布団に入っても眠れない日々が続くと、睡眠への不安感が強まります。「布団に入れば眠れる」という経験を積み重ねていくことが大切です
  • 布団の中に悩み事を持ち込まない:悩み事があると眠りが浅くなり、寝つきも悪くなります。翌日考えるようにしましょう

不眠症の薬以外の治療法:②睡眠日誌

不眠症患者への心理療法としては、「睡眠日誌をつける」方法がよく実践されます。これは自身の睡眠状態を記録し、客観的に睡眠状態を把握することで、不眠に対する過剰な不安感を軽減させていく治療法です。

不眠症患者は、きちんと眠れている日があったとしても、眠れない日が続くと「今月は一度も熟眠できなかった」などと事実を歪めて記憶してしまう傾向があります。そこで睡眠日誌をつけることで、客観的な睡眠の状態を把握できると、過剰な思い込みに気づくことができるようになります。

不眠症の薬以外の治療法:③認知行動療法

認知行動療法とは、物事への考え方の癖を自分で把握し、修正していく治療法です。不眠症患者は睡眠に関しての認知が歪んでいるケース(全然眠れていない、必ず○時間眠らないといけないといった思い込み)が多いため、この認知行動療法によって、認知を少しずつ現実に近づけていきます。
実際、「○時間眠らないといけない」といった思い込みを払拭することで、不眠症が徐々に改善していく患者さんも少なくありません。

不眠症の薬以外の治療法:④リラクゼーション

不眠症の患者は、眠れないことによる不安から筋肉が緊張し、さらに眠れないという悪循環に陥りがちです。そこで、筋肉の緊張と弛緩を繰り返す動作をするリラクゼーション法を実践することで、心身をリラックスさせ、自律神経を整えて眠りやすくします。

おわりに:生活習慣や心理面に作用する治療で、不眠症が改善しやすくなることも

不眠症を改善するには睡眠導入剤の服用も有効ですが、睡眠衛生教育や認知行動療法によって不眠の原因にアプローチすることが、根本的な解決に役立つ可能性があります。不眠症でお悩みの方は、一度専門の医療機関で相談されてみてはいかがでしょうか。

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