記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
B型肝炎ウイルスのキャリアの女性の多くが、出産にあたって心配するのが、「子どもへの母乳感染のリスク」です。では、母乳を介して赤ちゃんにウイルス感染する可能性はあるのでしょうか?子どもへの感染を防止するには、どうすればいいのでしょうか?
B型肝炎ウイルスは感染者の母乳にも含まれていますが、基本的には血液感染が主なため、授乳によって赤ちゃんがウイルス感染することはまれです。むしろ、母乳は赤ちゃんにとって必要不可欠な栄養源であり、感染症予防の効果もあるものなので、B型肝炎ウイルス感染者の母親であっても、基本的には母乳の投与を中止すべきではありません。
ただし、乳頭に傷があったり、出血が見られる場合には、治るまで母乳をあげるのは控えてください。
B型肝炎ウイルスの感染者の女性が出産する場合、血液を介して子どもに感染する確率はとても高いといわれています。子どもへの感染は母親の陣痛が始まった際に起こると考えられているため、母子感染を予防するには、出産後なるべく早い時期にHBIG(B型肝炎免疫グロブリン)の接種を1回、HBワクチンの接種を3回行うことが有効です。これによって、およそ9割以上の赤ちゃんはB型肝炎の感染を予防できるといわれています。
一般的に、保育園や学校などの集団生活の場でB型肝炎ウイルスに感染することは非常にまれといわれています。B型肝炎ウイルスは感染者の体液に含まれてはいますが、日常的な生活を送る限り、感染者が周囲にウイルスを感染させることはほとんどありません。
ただし、過去に保育所内で皮膚炎を介したB型肝炎ウイルスの感染事例が報告されていることから、感染者は下記の点に注意して集団生活を送る必要があります。
B型肝炎の主な感染経路は血液を介しての感染ですが、現在日本で行われている医療行為ではきちんと対策されているため、歯科などでB型肝炎に感染することはほぼありません。
B型肝炎ウイルスの主な感染経路の一つは母子感染ですが、現在ではワクチン接種により、子どものウイルス感染は高い確率で予防できるようになっています。また、母乳を介しての感染もほぼないと考えられています。
なお、保育園や学校での集団生活での感染率も低いですが、あらゆる感染症を予防するためには、「他人の血にさわらない」「歯ブラシを共有しない」といったことを子どもに教えておくことも大切です。